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★【国産広葉樹活用サミット九州パネルディスカッション①】腰据えて持続性ある活用を カリモク家具・加藤洋氏、芦沢啓治氏らも参加して開催

コメンテーターに芦沢氏を迎え、カリモク家具をはじめ川上から川下までの業者と林野庁が参加した。司会は長野氏

〈パネリスト〉
芦沢啓治氏(芦沢啓治建築設計事務所)
荒井美知夫氏(プラス ファニチャーカンパニーマーケティング本部長)
加藤洋氏(カリモク家具 取締役副社長)
中村展章氏(中村製材所 代表取締役)
早坂直樹氏(林野庁林政部木材利用課合法伐採木材推進班 課長補佐)
堀泰氏(諸塚村林業研究グルーブ会議 会長)
森田英友氏(福岡・大川家具工業会 地域材開発部会部会長)
〈モデレーター〉
長野麻子氏(モリアゲ)


 「国産広葉樹活用サミット九州2025in大川」の最後に行われたパネルディスカッションには、カリモク家具(愛知県東浦町)取締役副社長の加藤洋氏、建築家で芦沢啓治建築設計事務所(東京都台東区)代表の芦沢啓治氏らが登壇。川上・川中・川下に林野庁が加わった広葉樹の活用を考えるパネルディスカッションが長野氏の司会で行われた。

未来を見据えていきたい 加藤氏
 大川を訪れたのは約30年ぶりという加藤氏は、日本の林業の現状について「木材を買って使う立場として困ることもあるが…」と前置きしつつ「本当に国産の広葉樹を活用するなら、もっと林業がもうかるよう、板の価格や丸太の価格が上がることによって、林業の産業としての持続可能性が高まるようにしないと…。一時的に円安だから(輸入材の)代替としての国産材を活用するのではなく、もっと腰を据えて本当に持続性のある内容するには、バリューアップを図らないと」という意見に会場から拍手が沸いた。
 「とりあえず用途は決まっていなくても(山元で)これがいっぱいあって困っている、もしこれが売れるようになれば…というような、林業や製材業の方々の持続可能性につながるのであれば、いったん買うようにする。3年や5年先を見据えながら、何をやっているんだと言われても、チャレンジしなくてはいけないこともある」と加藤氏。
 さらに、木を1本伐り出すために大変な思いをしている現場の苦労に触れ「これは使えない、生産性が悪くなる、というような、物が豊かだった古い社会の名残から今まさに変わろうとしているはざまで混沌(こんとん)としている。そこは未来を見据えていきたいと思う」と話した。
 木製家具の海外展開について加藤氏は「日本の森の課題を知っているのに『何であなたたち輸入材を使うのか』という海外からの疑問に対して、ちゃんと正面切って答えられるようにならないと、本当の意味でのグローバルの中における日本の木製家具のポジションは築けない」と意見を述べた。

世界に通じる美しい家具を 芦沢氏
 芦沢氏は「日本の寿司がおいしいのは川上から川下まで、どう魚を使うのか分っているから」と、森から市場までのサイクルを考えて作れば「日本の家具は海外からもいいねと言われるようになる」と話した。
 抱負として「デンマークにはほとんど使える木がないが、日本は山があり、自分たちで木を使うことができる。こんないい環境にあって、いい家具ができないなんて言ってはいけない。もっと世界に通じる美しい家具を作っていきたい」と述べた。
 一方で、芦沢氏は「ハーマンミラーやアルテック、ヴィトラといった世界的な家具メーカーの中で、建築家と上手に付き合っていないところは一社もない。われわれの生活にどのように家具や木材を使っていくか、僕らは考えている」と建築家の立場から意見を述べた。

★【国産広葉樹活用サミット九州パネルディスカッション➁】みんなでモリアゲ!国産広葉樹活用の未来

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セミナー「家具 内装用木材の国産材への転換に向けて」~国産の未活用広葉樹材の加工・利用技術開発~杉山真樹氏(国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所)

基調講演「空間設計から家具まで、国産広葉樹活用の可能性」建築家 芦沢啓治氏(芦沢啓治建築設計事務所)

トークセッション「未来へ繋ぐ人と森と家具」~センダンが育む地域と循環~鳥取県東部森林組合、諸塚村林業研究グループ会議、福岡県八女森林組合、福岡・大川家具工業会地域材開発部会


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