ニュース

★大川、国産広葉樹活用へ一歩 国産広葉樹活用サミットを開催①

あいさつする福岡・大川家具工業会理事長の河口健氏
大川市の江藤義行市長

 川上・川中・川下一体となった国産広葉樹の本格活用に向けた「国産広葉樹活用サミット九州2025in大川」が1月15日、福岡県大川市で開催され、約200人の林業・木材関係者らが来場した。主催は福岡・大川家具工業会地域材開発部会。建築家の芦沢啓治氏を迎えた基調講演、森林総合研究所の杉山真樹氏によるセミナー、川上から川下までの関係者を招いたトークセッション、豊かな森を次世代につなぐ活動を続けているモリアゲの長野麻子氏の司会によるパネルディスカッションが行われた。

 「国産広葉樹活用サミット」は1月15、16の両日開催された「第57回大川家具新春展」(記事3面)と併催され、同展のメイン会場である大川産業会館すぐ隣の大川市文化センターで行われた。ラウンジには、同工業会各社の国産広葉樹を使った家具などが展示された。
 「広葉樹サミット」は2023年、長野氏の呼び掛けで飛騨木工連合会が主催する「飛騨の家具フェスティバル」で全国で初めて開催された。北海道産広葉樹の利用が約7割を占める旭川家具工業協同組合をはじめ、広葉樹を中心とした国産材活用が全国的な広がりを見せ始めている。
 サミットの冒頭で福岡・大川家具工業会理事長の河口健氏は「このサミットが持続可能な未来をつくる1歩となることを心から期待している。地域産業の未来を開く原動力となれば大変うれしく思う。大川が国産広葉樹活用に向かって大きな1歩を踏み出していくことを誓う」と力強くあいさつした。
 来賓として招かれた大川市の江藤義行市長は、昨年9月の選挙で市長に選ばれた。現在も社長を務める家具卸・販売のスマート・リビングは「ファブレス化した製造小売業、ネット販売や家具の輸出を行っている。この広葉樹サミットを全力で応援したい」とエールを送った。
 林野庁林政部木材利用課の難波良多課長は「私たちの生活と里山との距離が広がる中で、木製家具は今も変わらず人々が木に触れて、自然の恵みを感じるものとして私たちの生活に根付いている」と理解を示した。国産広葉樹の需要の高まりを受けて同課は、昨年11月から有識者による里山広葉樹利活用推進会議を開催している。「大川での国産広葉樹サミットの開催は時宜を得たもの。これを契機に国産広葉樹の活用が進められ、人々と里山の新たな関係構築に期待する」と述べた。
 福岡県は2020年に人と動物の健康と環境の健康を一体のものとして守る「ワンヘルス推進基本条例」を制定した。農林水産部林業振興課の奈須敏雄課長は「木材を利用することもワンヘルスを守る重要な取り組みの一つとして積極的に進めている」と紹介した。「サミットを通じて新たな知見を持ち帰り、それぞれの立場で国産広葉樹の活用に一層貢献されることを期待する」と同工業会と連携を図って、国産広葉樹を使ったデザイン性の高い家具の開発に取り組むとともに、木材利用の推進に全力を挙げる姿勢を示した。
 サミットの最後に福岡・大川家具工業会地域材開発部会部会長の森田英友氏は「大川家具が大川家具たるべく、次世代を考えたよりどころとなる新しい武器を作りたいと思った。そして、その武器はまさにここにお集まりいただいている皆さんとのつながり。自分たちはきょう何ができるか、どういう1歩を踏みしめるか、みんなで一緒に考えていきたい」とあいさつして、来場者総立ちの鬨(とき)の声とともに締めくくった。

林野庁林政部木材利用課の難波良多課長
福岡県農林水産部林業振興課の奈須敏雄課長
締めのあいさつをする森田英友氏

ニュースの最新記事