連載2021.01.20
コロナ禍によってビジネスは急速にデジタルの領域に移行している。経産省のデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する研究会が昨年末にまとめた中間報告は「今すぐ企業文化を変革しビジネスを変革できない企業は、確実にデジタル競争の敗者としての道を歩むであろう」と警告を発し、今がその絶好の機会であると断言している。さらに「DX推進に当たり対等な立場で伴走できる企業とのパートナーシップを構築することが重要となる」と進言している。
メーカー、卸、小売り、それぞれの立場で今後、DXが加速することになるだろう。「EC(電子商取引)の利用と販売の多チャネル化が進む中で課題となるのは、BtoB受発注の効率化」と言い切るのは、BtoB―ECカート「楽楽B2B」による業務効率化を提案しているネットショップ支援室B2Bソリューション事業部長の三宅晋平氏。
「例えばメーカーがEC販売に乗り出すときに、BtoB取引のさまざまな課題を最初に解決するべきです。その次に取引の利便性の向上、その後にBtoBでもECサイトを使い新規の売り上げをしっかりとっていきましょう」と顧客にアドバイスしている。
「楽楽B2B」は、ファクスによる注文書の自動読み込み機能を持ち、業界ごとの商慣習にも柔軟に対応できるように設計されているクラウドサービス。買い手の取引先は、ECのカートに製品を入れながら注文できる。BtoCと同じように、注文を増やすための仕掛けも備え、2018年のリリース以来、さまざまな業界に広がっている。
「BtoBの要望は、限りがなく完成形はありません。その業界特有のルールもあります。『楽楽B2B』はこれまで、クラウドサービスでありながらもカスタマイズをしてきた実績があります。その結果、家具業界をはじめ、さまざまな業界の取引ルールに対応できるようになっています」と三宅氏。
「楽楽B2B」は、掛け率や価格、ロット単位での割引など細かい設定ができるようになっている。取引先ごとに「この商品はA社の取り扱い、B社は取り扱いNG」といった設定もできる。家具業界独特の商品サイズの計測方法や都道府県別の送料計算、製造・卸元が直接発送するドロップシッピング形式の発注まで対応している。
こうしたBtoB―ECカートのサービスを利用すると、製品や相手先に応じた細やかな取引の設定ができるようになる。EC販売に適した木製小物の細かく複雑な発注にも対応できるため、端材を有効利用した商品開発を図るなど、メーカーのものづくりを変える可能性も秘めている。
「楽楽B2B」は、クラウドサービスであるため、初めてBtoB―ECカートを導入する企業にとってもハードルが低い。サービスは導入初期費用10万円、月額利用料5万円のライトプランから、分析機能や外部連係機能を備えたスタンダードプラン、カスタマイズに対応したエンタープライズプランまで用意している。
三宅氏は「BtoC向けECは初めてという企業はまず、楽天のようなモールで売り方をしっかり学ばないと自社サイトのECでの成功はありません。例えばモールで発表される売り上げランキングにいかに入るか、そのための工夫と経験を積むことが大切です」とアドバイスする。BtoBのECがうまく軌道に乗れば、その先にBtoCのビジネスも見えてくるだろう。
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