連載2020.12.09
イームズのプロダクトデザインといえば「チェア」というのが通説であるが、そればかりではない。1950年の「イームズストレイジユニット」や、64年の「セグメンテッドテーブル」も素晴らしいデザインで私は大好きである。
チェアをデザインする場合、セットとしてのテーブルという捉え方もあるが、とかく主役はチェアとされることが多く、テーブルは脇役として後回しにされるケースが一般的である。
確かにデザイン上の造形性は、チェアのほうが変化させる要素が多く、彫刻的といってもよいほどで面白い。
しかし実際には、機能性や身体性を考慮しなければならないため、デザイン作業は実に難しい。
それと比較してテーブルは、一見すると身体との関わりが少ない製品であるが、その役目は極めて重要で、身体ではなく心身への関わりが多いと捉えるべきだ。
具体的に言えば、テーブルの役割はコミュニケーションの場をつくることであり、その役割をいかにデザインするかである。
チェアに比べて地味かもしれないが、その役割を踏まえてデザインしなければ単なる付属製品になりかねない。
構造上、デザイン上、特に面白いのは、トップと脚のつなぎ方にあり、大量生産テーブルにおいてその妙を感じる。
イームズの代表的なセグメンテッドテーブルは、イームズとハーマンミラー社の関係から生まれた企画とデザインである。同時に市場性と生産性を意識したシステムデザインとなっている。
チェアのPC(ピボットキャスティング)シリーズの表情やディテールと類似していることから、つながりを持たせたのであろう。それらは理念であり、コンセプトである「役割」と「効率」をしっかり内包しているのである。
効率が前面に出過ぎると、作る側の利便性のみを追求しているかのような製品になってしまうが、イームズデザインはそれを感じさせない。なぜだろう?と常々思ってきた。
それはシリーズでありながら全て独立性を持つ魅力があるということだろう。
各パーツのつなぎ方(KDシステム)の明快さと全体の表情のバランスにあると思っている。
「システムデザイン」と述べた理由は、テーブルの役割に合わせた多くの形とコミュニケーションを成立させていることにある。同時に脚部の共通パーツによる変化にあり、絶妙といってよい。
発売を予定している本には、それらテーブルの図面を多く収納する予定だ。保存状態も良いので、ぜひイームズテーブルデザインを見直していただききたい。
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