ニュース2025.09.11
国産材の報道に力を入れている家具新聞社は9月26日から28日までの3日間、東京ビッグサイトで開催される「GOOD LIFEフェア」(朝日新聞社主催)で沖縄の木を使ったクラフトを沖縄ウッディフェアに先駆けて展示・販売する。亜熱帯の沖縄には、豊かな色と独特の年輪を重ねた木を使った美しい家具や木工芸品があふれていることは、まだ広く知られていない。国内外のライフスタイルに、新たな旋風を巻き起こす可能性を秘める沖縄の家具や木工芸品などが一堂に集まる沖縄ウッディフェアは、10月31日から11月3日までの4日間、沖縄県豊見城市のおきなわ工芸の杜で開催される。その事務局長を務め、沖縄を代表する木工作家である屋宜政廣さん(69)の工房を訪ねた。
最高峰の木の質感を引き出す唯一の職人
沖縄諸島に主に生息しているアカギは、日本の木材の中でも最高峰の質感を持つと言っても過言ではない。このアカギを使いこなして家具をつくる、数少ない木工作家の一人が屋宜さんだ。
沖縄木工界のパイオニアでもある屋宜さんは読谷村の出身。沖縄ウッディフェア事務局長のほか沖縄県ウッドクラフト事業協同組合の理事長を務め、業界のリーダーとして後進の育成にも力を注いでいる。にじみ出るような優しさあふれる人柄とユーモラスな語りの魅力は、そのまま家具の個性にも表われているのではないだろうか。
自分の手で建てたという沖縄市知花の工房を訪ねると、自然光を宿し、ぽってりと濃密な質感を持つアカギを使った椅子が置かれていた。赤みを持つこの材は、経年変化とともに黒っぽくなり、渋さと艶やかさを増していく。しかし、その扱いは極めて難しい。
アカギは多くの水分を含み、生木を乾燥させる工程でそのほとんどが割れてしまう扱いにくさがあるが、材を1年半~2年ほど水につけることによって、割れを防ぐことができる。川の流水だと1年ほどで割れの原因となる養分を流して取り除くことができるという。
伊勢神宮の神宝の一つ、アカギの柄の太刀「須我流横刀」は、699(文武3)年に南から献納されたという。式年遷宮のたびに、アカギの柄の大刀が作成され、1929(昭和4)年の遷宮の際に、首里城下のアカギを伐採して製材し、奉献された記録もある。首里金城町の大アカギは国の天然記念物に指定されている。
このほかにも位階を授けられた者に与えられる公文書「位記」や、正倉院に納められている経典の軸にもアカギが使われている。樹皮からは赤茶色の染料が作られ、沖縄の伝統織物であるミンサー織に使われてきた。
動き出しそうな動物的な家具
屋宜さんは、20代で看板制作の仕事に就いた時にデザインに目覚めたという。転職したグラフィック会社では、ディスプレーに使う什器の棚を自分で作り、木工の世界に興味が傾いていった。
31歳の時に、息子に作った子ども用の椅子が最初の作品。周りはほとんどパイプの子ども椅子しかない時代だった。「当初は2万円で売りに出した。かわいいと言って走り寄ってきたお母さんに値段を伝えたら『2000円かと思った。ばかじゃないの』と怒られました(笑)。まだ沖縄に手づくりの木工が普及していない時だった。沖縄ウッディフェアのおかげもあって、買う側の目も肥えてきた」。その制作過程でアカギに出会い、家賃4万5000円の外国人住宅を借りて工房を構え、本格的な家具製作にのめり込んでいった。
「最初は甚五郎という工房名を名乗っていたが『若くして甚五郎とは何事ぞ』という声もあり、自分はあほうなところがあるので唐変木にしようと思った。それでは芸がないなと唐を島に変えて島変木と名乗ると、居酒屋ですかと聞かれた」
1脚20万円の値をつけたアカギの椅子が売れはじめ、値も上がっていった。沖縄のアカギの愛好家もいる。「玄関ドア、ダイニングテーブル、座卓にアカギを使って全部作ってほしいと頼まれることもあった」
特に米国の「木匠」、ジョージ・ナカシマのデザインに影響を受けた。「30歳の時に初めて知って衝撃を受けた。木の自然なラインをそのまま生かした家具は、量産家具にない、一つ一つが個性を持ったものだった。個人ならではの強みを生かせると思った」
世界的にスカンジナビアン・デザインが家具の主流となっている。屋宜さんの家具は、その対極をなし、自然と生命感にあふれている。
「今は曲線主体の動き出しそうな家具、椅子自体が勝手に動いてしまうような、動物的な感じを意識している。北に行けば外で寝たら凍死する。そんな緊張感がデザインにも表われている。沖縄の形はゆったりと気が抜けたような、ぼてっとした感覚がある。それが沖縄らしさ」
アカギの椅子は、なでまわしたくなるような手触りの良さがある。工房の周りに響き渡るセミの声に包まれて、湿度の高い外気の風を受けながら、アカギの椅子に座って目を閉じる。悠久の時間が流れ、ずっと座っていたくなるような心地よさがあった。
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