視点2018.06.06
クリーンウッド法を無視しても今のビジネスに影響ないかもしれないが、この法律を要件とすることが今後も増えてくることは間違いない。中小企業でも登録しやすい環境を、いかにつくるかが今後の課題となる。
先行して登録するメリットはあるだろう。例えば取引先から突然、クリーンウッド法の登録を要件として示されたときにどう対応するのか。すでに合法伐採木材を使っているところでも登録には2カ月近く要している。即座に対応することは、まず不可能だ。森林認証取得や合法木材供給事業者であれば登録に要する時間を短縮できるが、そうでない場合、かなり時間がかかるだろう。木材のDDについても、積み上げてきたノウハウがあってこそ、経営負担をできるだけ抑えて、この法律にスムーズに対応できる。
小売りに閉塞(へいそく)感がまん延する今、BtoBのビジネスのシェアを伸ばしているところもある。そこにクリーンウッドをどう、からませていくか。経営ビジョンとして考える余地は十分にある。ビジネスメリットを探しても今は始まらない。この法律を生かして「メリットをつくる発想」が業界に求められている。日本製紙連合会が、東京五輪・パラリンピックの紙の調達について、クリーンウッドの登録を要件としたのもその一例だ。
違法伐採木材の流通を防ぐことによって、地球温暖化防止や自然環境の保全などを図ることがこの法律の目的だ。それを多くの人たちが当然として考え、一般消費に浸透する社会が日本にやってくるには時間を要するかもしれない。
しかし、世界経済はESG投資をはじめ環境投資へと確実に動いており、企業の環境対応が問われている。目先の利益にとらわれ「木を見て森を見ず」が、家具業界にあってはならない。