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★【日本木工機械展リポート㊤】オーダー家具の見積もりから製造まで瞬時に ドゥーマンズの自動設計製造システム

JCPグループの共同ブース
darosシステムを操作するドゥーマンズの二宮健一社長

 国内最大の木工機械展示会「日本木工機械展/Mokkiten Japan 2025」が10月2日から4日まで名古屋市港区のポートメッセなごやで開催された。出展したのは製材、合板、集成材、木工など170社・団体。同展から家具製造に関係の深い加工機器を中心に2回にわたって紹介する。

 ドゥーマンズ(東京都渋谷区)は、木工機械メーカー5社と共同でJCPグループ・ブースを開設、家具の自動設計製造システム「daros(ダロス)」を紹介した。
 darosは、製品の設計ルールをデジタル化し、さまざまな図面を瞬時に自動生成できる国際特許を取得した世界初のクラウドシステム。オーダー家具なども瞬間に製造指示が出せるのが特徴で、同社では家具業界の未来を切り開くシステムとして関係各社に参加を呼び掛けている。
 このシステムはCADを使わずにオーダー家具を設計でき、製品の加工図面やCG画像、原価積算、設計・製造図面、さらには製造指示に必要な木取り図、加工指示書などのデータを自動生成することができる。ランニングソーやNCルーターなどの木工加工機の加工に必要なデータをデジタル化して自動生成する。
 darosで設計ルールをデジタル化しておけば、顧客にオーダー家具のプランニングをしながら、その場で顧客を待たせることなく図面や見積もり、CGなどを何回も提案でき、受注率は飛躍的に高まるとしている。
 受注後も製造に必要な図面類が自動生成されているので、設計などの間接業務を必要とせず、ただちに製造に取り掛かることができる。
 またdarosで作成した商品をデジタルカタログとして作成・保存し、他のユーザーに配布することができる。このデジタルカタログは、別注・特注機能付きである点と、ネット決済機能も備えている。
 ユーザーは、デジタルカタログの商品の幅・奥行き・高さを入力するだけで図面や見積もりを確認でき、そのままネット注文が可能となる。
 このデジタルカタログを工務店やビルダー、リフォーム企業などに配布すれば、煩雑なカタログ商品の別注・特注業務が無人化でき、新たな売り上げの拡大が見込まれるという。
 darosの自動生成技術は省人化や時短、既存事業の効率化にとどまらず新規事業にも応用が可能としている。
 問い合わせはドゥーマンズ(東京都渋谷区代々木3―28―6、いちご西参道ビル。電話03・5354・7671)。

家具業界の未来を切り開く
ドゥーマンズ社長 二宮 健一氏

 ――JCPグループ結成の目的は?
 日本の機械メーカーは各社バラバラの加工データでやってきたため、複数社の機械を使っているユーザーは、それぞれメーカーごとの加工データを用意しなければならなかった。共通のコードをつくって各社の機械が、そのコードで動くようにしようと、ユーザーの利便性のために約7年前に結成した。
 ――システムの普及状況は?
 大手企業はそうした考え方で動いている。中小企業にはまだ広がっていないが、木工機械を一つのブランドでそろえることは難しいので、JCPコードを通して各木工機械メーカーの機械に指示を出せるシステムは、時間は掛かっても普及してくると思う。
 ――家具メーカーにとってのメリットは?
 家具メーカーや建具メーカー、キッチンメーカーも同じだが、多様な木工機械を使っていて、実際に製造を始める前にやらなければいけない仕事がすごく多い。
 家具業界では、いま受注の半分以上が別注、特注となり、システム家具やサイズ別注、機能特注製品を各社とも取り扱っている。
 既存製品はデータベースがあるから製造データがすぐ出せるが、サイズ変更や仕様変更をすると過去のデータベースは使えずにゼロから始めなければならず、時間ばかり掛かって利益が出ない。darosは、それを自動化し、加工指示の手間をゼロにする。受注した瞬間に製造指示が出せるということだ。
 ――家具メーカーが参加したいと思ったらどうすればよいのか?
 われわれにコンタクトしていただき、各商品の加工ルールをdarosに登録する必要がある。あとは商品をプランニングすればJCPコードが生成される。サイズが変わろうが、仕様が変わろうが同様で、規格品もオーダー品も同じ流れでできる。われわれは「オーダー家具の汎用化事業」と言っている。
 家具メーカーにもどんどん参加していただき、別注品も特注品も、お客さまが買いやすい価格で提供できるようになれば、それによって生活者の喜びや住み心地が向上する。そのためにはデジタル化は欠かせない。

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