ニュース2024.12.27
中国国際家具見本市(CIFF)と中国国際建築装飾見本市(CBD)を主催している中国対外貿易広州展覧有限公司(CFTE)は11月21日、東京都江東区の東京ベイ有明ワシントンホテルで「日中 家具・建材ビジネス交流会」を開催した。家具新聞社はCFTEの依頼を受けて、同交流会の企画・運営を行うとともに、日本の販売店や貿易会社の視察をサポートした。中国は景気が悪いと言われているが、交流会に招いた北九州市立大学の中岡深雪教授は「不動産市場の景気は冷え込んでいるが、中国経済にはいくつかほかの成長ポイントがあり、構造転換の時期である」と述べ、今後は「日本と中国の双方が発展していく協働の姿勢が大切」とアドバイスした。
中国とこれからどうビジネスを展開すればいいのか。家具新聞社は交流会に中国の建築業界と住宅事情の調査・研究に取り組んでいる北九州市立大学の中岡教授を招いて、中国の経済状況と住宅事情について講演してもらった。
大型デベロッパーの恒大集団が債務危機に陥るなど、中国の不動産市場に悲観論が渦巻いているが、中岡教授は「2024年第3四半期の主要産業の成長率を見た場合、いずれもマイナスにはなっていなかったが、不動産業のみがマイナスになっている」と状況を説明した。
計画経済下の中国は、住宅を自分で買うことはできず、所属している職場から割り当てられた。しかし、共同キッチンに共同シャワーといった生活環境としてはあまりよくないものだった。1978年、鄧小平の指導体制の下で行われた改革開放とともに住宅の改革も始まった。
それまで職場からの分配だった住宅を、個人で選択できるようになり、中国経済の発展とともに住宅ブームが起こった。ただし「個人の所有権は建物だけ。例えば行政が再開発といったら立ち退きになる」こともあった。
中岡教授はGDPに不動産投資額を重ねたグラフを用いてまず「2015年までGDPの成長を上回る率で投資が行われ、不動産業が中国経済をけん引してきたと言われた」ことを示した。1992年に鄧主席が南巡講話で先進国に投資を呼び掛け、99年にはWTO加盟、2008年のリーマンショックも大きなダメージを受けなかったが、13年ごろから陰りが見えはじめ、不動産投資の伸び率がGDPを下回るようになったと流れを説明した。
中国の家は高いと言われるが、だれが買っているのか。中岡教授が行った聞き取り調査によると「もともと計画経済時代に住んでいて、改革開放で払下げを受けた。その払い下げを受けた人が持っていた住宅が転売と住み替えを繰り返していま価格が上がっている。特に住宅が上がりはじめた2000年代の前半以降に購入した人が有利になっている」ことがわかった。このため、価格上昇のあおりを受けた若年層が住宅を買えず社会問題になっているという。中古住宅は内装も施され、家具を備え付けている物件も多く、インターネットでの売買も進んでおり、内覧を実況中継するところもある。
中岡教授が示した中国工業と情報化部の統計によると、ある一定規模の家具メーカー数は、7299社に上る。中国の家具製造関連の売り上げは、21年の8004億元(約13兆8710億円)を境に下降線となり、23年は6555億元(約13兆1877億円、前年比14%減)、利潤は364億元(約7300億円、前年比23%減)とダウンしている。縮小傾向にはあるが「中国には(珠江デルタや四川省に)家具産業クラスターも存在しているので、成熟状態と言えるのではないか」という。
中岡教授は中国経済全体の状況について「これまでの20年間、非常に右肩上がりだった高度経済成長期の成長は終了しているが、景気が急速に悪化したわけではない」という見解を示した。
さらに「不動産市場の景気は冷え込んでいるが、中国経済にはいくつかほかの成長ポイントがある。それこそ世界で競っているような最先端の技術分野もあるので、経済全体が維持されれば、民間需要も衰えることはないのではないか。不動産に依拠していた経済構造はずっと危険だと言われ続け、今は構造転換の時期を迎えている」と現況を説明した。
「それがうまくソフトランディングすれば、中国経済が急速に悪化することもなく、持ち直す可能性が高い。そうなると民間需要も回復してくるので、住宅関連産業も順調にいくのではないかと思う」と見通しを述べた。
最後に「本日いらしたCIFFやCBDの方々とのネットワーク、人とのつながりを大事にして、日本と中国の双方が発展していく。こうした協働が必要だと思う」と述べた。
労働賃金を抑えた生産工場の時代を経て「協働」という視点で、日本と中国双方が歩み寄り、ビジネスを見い出していく時代に移り変わろうとしている。
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