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★課題は国産広葉樹の安定供給 「WOODコレクション2023」出展ピックアップ

登米市森林管理協議会は、ホワイトを基調にデザイナーの小泉誠氏がデザインした家具を展示した
福島県郡山地区木材木工工業団地協同組合は、曲木を使ったケヤキの家具を展示していた

 国産広葉樹をどう安定供給していけばいいのか。「WOODコレクション(モクコレ)2023」出展の中から広葉樹活用の取り組みをピックアップした。また、西館吹き抜け空間のアトリウムでは、木材を原料としたさまざまな製品が一般向けに販売された。

森林組合が家具メーカーに 宮城
 「登米市森林組合が家具メーカーになりました」。ホワイトを基調にしたブースにひときわ目立つキャッチコピーを掲げたのは登米市森林管理協議会。
 広葉樹の産出と製品化に力を入れる登米町森林組合が、3年前にデザイナーの小泉誠氏とともに立ち上げた家具ブランド「kitakamiの木」を展示した。ブースも小泉氏がデザインした。
 登米市は総面積5万3600㌶のうち、41%に当たる2万2200㌶を森林が占め、このうち約9100㌶でFSC認証(FM認証)を取得している。
 同組合は、コナラ、クリ、ケヤキ、ヤマザクラを活用し、北海道の齋藤製作所や東北の秋田木工など製造業者と協力して家具を作り、仙台市のインテリアショップなど全国5社の家具ショップを通じて販売している。
 広葉樹は同組合の製品や以前から取引のある限られた製造業者に供給を絞っており、規模の大きな取り引きは断っているが、小規模のメーカーに少量なら提供するケースもあるという。

川上から川下、地域で連携 福島
 里山再生や通常伐採で出てきた広葉樹の活用に取り組む福島県郡山地区木材木工工業団地協同組合。郡山市にある森林組合、製材業者、木材加工業者が集まる。
 同組合の栁田俊秀氏は「チップとして燃料に使われていた広葉樹の付加価値を高めようと径級で30㌢のケヤキやヤマザクラなどを利用している」と同組合の活動について説明した。
 少ない資源量の広葉樹を利用するには「家具業界と伐採業、流通業者が意思疎通を図らずに、みんながバラバラに動くと混乱してモノがなくなる事態が起きる」と懸念している。
 「伐採から木材加工までの川上から川下まで連携できることが大きなポイントで、その活動を地道にPRしている。広葉樹の資源量はあるが、輸入材の代替えや大量生産に向けて供給するほどの量はない。まずは官公庁や自治体向けに製品を納入していきたい」と話した。

FSC材を少量多品種で 岩手
 岩泉フォレストマーケテイングは、FSC森林認証を受けたミズナラ、ブナ、ヤマザクラなどの広葉樹を少量多品種でその年に出た分だけ提供している。2018年に木材加工、売買する業者が取得するFSCのCoC認証を取得。岩泉町内の事業者と連携した製材品、家具など自社商品の開発に取り組んでいる。
 今回はナラ、ウダイカンバ、サワグルミ。オニグルミの4種のFSC認証材を使い、岩泉純木家具が製造したスツールなどを出展した。
 岩泉町の森林面積は9万2200㌶で町の総面積の91%を占めており、天然林が6割以上を占めている。03年にFSC森林認証を取得している。

木の糸を使った布製品も
 長野県の根羽村森林組合は、木の糸を使った製品を展示した。同組合は「木の糸コンソーシアム」に参加して、間伐材を原料にした「木糸(もくいと)」の普及を行い、売り上げの一部を原資に再造林、植林、リサイクルして山に還元する。
 和紙から「木糸」を開発した「和紙の布」(大阪府阪南市)社長の阿部正登氏は「糸の強度を増せばソファなどに使える」としている。

さまざまなFSC認証材を組み合わせた岩泉フォレストマーケテイングのスツール
根羽村森林組合は根羽スギを使ったクッションやタオルなどを展示
和紙の布は「木糸」を使った服などを展示した

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