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★アメリカ広葉樹輸出協会 旭川懇談会 フリーディスカッション<1> ウォルナット価格は頭打ち

旭川のホテルで行われたアメリカ広葉樹輸出協会の懇談会
旭川林産協同組合
理事長
高橋 秀樹氏

 アメリカ広葉樹輸出協会(AHEC)は6月30日、木材・家具業界の企業・団体を招いて米国産木材アメリカ広葉樹を中心とする木材市場の意見交換を目的とした懇談会を旭川市内のホテルで開催した。
  米国大使館農務担当公使のモーガン・パーキンズ氏は、懇談会の開催にあたってビデオメッセージを寄せ、世界の木材が直面しているサプライチェーンの混乱と木材価格の高騰に触れ「大切な日本のお客さまに持続可能なアメリカ広葉樹の販売を促進します。皆さまの困難を正しく理解するために率直な意見をお聞かせください」とあいさつした。
 AHEC日本代表の辻隆洋氏はアメリカ広葉樹の輸出市場の現状について「欧州の方でロシアの影響がかなり出ており、これまでアメリカ広葉樹を使っていなかった国への輸出も増えている」と説明した。
 続いて木材・家具業界10社・団体によるフリーディスカッションが行われ、木材価格高騰の現場での実感や今後の木材需給動向への不安、アメリカ広葉樹への期待などを各社・団体の代表が語り、意見交換した。

※AHEC日本代表の辻隆洋氏によるアメリカ広葉樹輸出市場の現状報告はこちらから

■アメリカ広葉樹原木・製材の輸入状況について
 辻 旭川林産協同組合の高橋理事長、去年の10月から今年3月までの輸入状況についていかがでしたか。
 高橋 戦争とは別に、これまで輸入していたロシア材が今年1月からの輸出禁止によってゼロになりました。アメリカ広葉樹については3年ほど前からどんどん高くなり、家具メーカーさんがついて来れないと思ったので買い数量を7掛けまで落としました。それからコンテナ運賃がどんどん上がり、私どもが決めた価格ではもう買えない状況になりましたので、丸太も買えたものを送ってくださいということで、それが約75%ですから半分ほどになりました。これは程度の差はあるでしょうが、どこも同じということで、国産材の買い競争が始まりました。
 私ども旭川林産協同組合は年に10回、銘木市を開催していますが、お客さんが集中して、特にナラが独歩高になり、3年前の平均5万8000円が7万8000円になりました。特に今年の1、2月は9万円近くまで値上がりしました。5月は冬切りの残材のものが結構高い価格で全量売れました。
 辻 昭和木材の高橋社長はいかがでしょうか。
 高橋 一番上がったのはホワイトオークの柾目で、ウォルナット以上に上がりました。ウォルナットは頭打ちで、最近はシッパーが価格交渉に応じてくれるようになりました。問題は為替です。ロシアの製材品はこれから中国に流れていきます。中国経由で輸入すると、通関上でトラブルになる可能性があります。製材の輸入は禁止されておらず、ロシアの針葉樹が入っていますのであまり心配しなくていいのですが、問題は単板です。ロシアの単板が輸入禁止になったので、中国に回っています。ラーチ合板は心配しなくていいと思います。世界は回っているので、ロシアの材が必ずしも入ってこないという心配はないんじゃないかなと思います。
 辻 アメリカもホワイトバーチの合板をロシアから輸入していましたが、ロシアから関税の最恵国待遇を取り消しましたので、6月以降は極端に減って、これも中国に向かう可能性があります。その代わりにベトナムからの輸入が増えています。空知単板工業の松尾社長、原木の輸入状況はいかがですか。
 松尾 私のところはツキ板用にアメリカから1本ずつ値付けして丸太を買っていましたが、コロナでアメリカに行けなくなって、すごく高い値段を付けられ、安くしてくれというとすぐ転売され、言い値では、期待する品質が入ってこないのが悩みの種になっています。量的には4月出荷を7月まで伸ばして7掛けくらいですね。原料はあるけどコンテナを出せないということで、地元の製材屋さんなどからホワイトオークを主に買っています。そのほかの樹種についてはグリーン材を冷凍コンテナで買っていますが、それも7掛けほどしか集まっていない状況です。
 辻 三津橋産業の三津橋社長、北海道産広葉樹の原木の出材状況はいかがですか。
 三津橋 ウッドショックの影響で針葉樹の伐採が増え、その影響を受けて広葉樹の生産量が落ちており、なかなか道産材も厳しい状況です。価格も、ものによってはかなり高くなっています。私どもはグレード的に低いものをメインに集めていますが、そういった市場の影響を受けにくいところも最近は値段が上がって大変な思いをしている状況です。米国産材が高くて道産材にシフトしたお話もありますが、供給量が増えているわけではありません。本当にいい木材もあるのですが、米国産材に比べると低グレードな製品が多いので、それをいかに使いこなすかということだと思います。

※アメリカ広葉樹輸出協会懇談会フリーディスカッション<2>はこちらから

昭和木材
社長
高橋 範行氏
単板工業
社長
松尾 和俊氏
三津橋産業
社長
三津橋 央氏

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