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★全木連 支援事業「顔の見える木材での快適空間づくり」が拓く国産材の未来

家具産地の大川では、早生広葉樹の植樹と製品開発の動きが活発になっている(OKAWA The Future Furniture 2021)

 今年のIFFT/インテリア・ライフスタイル・リビングは、家具への国産材利用の割合が最高になった。一般社団法人全国木材組合連合会(全木連)の支援事業「顔の見える木材での快適空間づくり」は、A材丸太を原材料とする付加価値の高い家具、内装材、建具などの開発や普及を行う事業を支援することで、家具産業への国産材利用の道を着実に切り開いてきた。

 10月1日に民間一般建築物の木材利用を促進する法律が施行され、農林水産大臣を本部長に5つの省の大臣が本部員を構成する木材利用促進本部が立ち上がるなど、国産材活用の条件整備が確実に進んでいる。こうした動きや輸入材の品不足、高騰などを背景として、家具業界における国産材利用が活発の度合いを増している。
 業界における国産材活用のきっかけをつくり、物心両面で支えてきたのが全木連の支援事業「顔の見える木材での快適空間づくり」だ。数多くの企業・団体が事業公募に手を挙げ、住宅や家具製品などの設計・開発支援、展示会開催やキャンペーン実施などを通じて日本の木材利用の未来を拓(ひら)く成果を上げてきた。
 全木連は、2019年から「顔の見える木材での快適空間づくり」事業を展開して、構造材のみならず家具、内装材、建具などの幅広い分野を対象に、A材丸太の利用拡大と普及活動の積極的な拡大に取り組み、今年度も継続して事業が進められている。
 IFFTにおいてはこれまでも、家具業界における国産材利用の流れを象徴する展示がいくつかあった。その一つが2015年、日本家具産業振興会、ゼロファーストデザイン、丸松銘木店による国産材家具の展示ブース「日本の木 ニッポンの家具」だ。これも全木連の国産材の高付加価値利用への支援事業を受けて実現した。

 新型コロナウイルスによる感染が全国に拡大した昨年だったが、この「顔の見える~」事業で福岡・大川家具工業会の国産材活用事業の支援が行われた結果、新製品の開発などの成果につながった。同工業会地域材開発部会の部会長を務める田中智範氏(丸仙工業社長)は、「センダンの間伐材を使った製品ができるまでのデザイン検討、試作品試験、材料費の手当などにこの支援事業を活用したことで、事業のスピードとボリュームアップにつながった」とその効果を高く評価している。
 今年は6月11日から7月2日までの間で提案募集が行われ、高野山の霊木の建築用材活用や木育イベントなどの8事業が採択された。
 全木連副会長の島田泰助氏は、「単に『木を使う』だけでは十分ではなく、『森林の循環につながる国産材を使うこと』こそが大事だ」と訴える。さらに「森林を守る活動は、SDGsのいくつもの目的に合致しており、特に国産材の活用は日本の森林を守ることにつながるエシカル消費として、森林や環境の問題に関心を持つ多くの人たちの注目を今後さらに集めることがおおいに期待される」と断言する。
 日本家具産業振興会にSDGs委員会が発足し、IFFTではエシカルをテーマにした特別展示が企画されるなど新たな動きの中で、今後一層、こうした支援事業の活用を通じて国産材の利用が、活発化していくことが確実になると思われる。

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