ニュース2021.06.18
3年ごとに開かれる世界の家具デザイナーの登竜門・国際家具デザインコンペティション旭川(IFDA)2021の入選作品が6月16日、開催委員会により発表された。今回で11回目となるIFDAには世界37カ国・地域から588点の作品が寄せられ、建築家の藤本壮介氏を審査委員長とする内外5人の審査委員により画像による予備審査、試作品による本審査を経て、このほど入賞4点、入選15点が選出された。表彰式は新型コロナ感染拡大の影響によりオンラインで開催された。
最高賞となるゴールドリーフ賞には、机に大きな箱型の仕切りを載せた形状が特徴の「キュービクル」が選ばれた。作者の渡辺賢氏は「人と人、人とモノとが緩やかに仕切られ、周辺の環境と心地よい関係でつながる家具を目指した」とコメントしている。
IFDA2021の入賞・入選作品は次の通り。カッコ内は制作者(敬称略)。
◇ゴールドリーフ賞「キュービクル」(渡辺賢)ナラ、ナラ突板、幅1400×奥行き580×高さ1800㍉。
◇シルバーリーフ賞「三本脚のドロワー」(溝口瑛・溝口京子)無垢材、スチール、ガラス、幅480×奥行き465×高さ1100㍉。
◇ブロンズリーフ賞「モレキュール」(佐藤邦彦)チェリー、幅550×奥行き476×高さ360㍉。
◇旭川ケベック友好賞「フラットチェア」(平山真喜子・平山和彦)ホワイトアッシュ、メープル、幅390×奥行き465×高さ710㍉。
◆入選作品
KURAGE(宇野公二)▽U―チェアー(藤村益生)▽モリノセイ(厚見慶)▽ラップ/カーボン(大門和真)▽コダチ(小髙浩平)▽フレーム9(黄明風、台湾)▽巣(ミヒャエル・シュナイダー、ドイツ)▽エアプライチェア(橋本誠)▽コンバイン(ズオ・スヤン、ゼン・チジン、中国)▽玉の椅子(岡藤石、岡田良太、藤井田仁)▽フランチェア(下里修平)▽ロッキングホース(小林幹也)▽ウェルカム(アンカー・バック、デンマーク)▽ラウンジチェア#01(吉田真也)▽リーディングスツール(石橋忠人)。
家具は世界を変える
◇藤本壮介審査委員長の選評
新型コロナのパンデミックにより、ものごとの本質がより露わになった。コロナが収まった後も、そこで気付いた大切なものは無くなるわけではなく、むしろ気付いた先の未来が変わっていく時期だったといえるのではないかと私は考えている。
いま改めて受賞作を見てみると、人と人、人と社会の関係をつくっていくのが家具の力強いところで、一つの椅子が人と社会の関係を再定義したり、新しい発見をもたらせてくれるということに新鮮な驚きを感じている。
家具は、われわれの世界観や人と人との関係をガラリと変える力を持っている。特にゴールドリーフ賞を受賞された渡辺さんの作品などは、それを象徴的に表しており、その価値はパンデミックが収まった後も引き続き光を放ち続けるのではないか。
次のIFDAが開かれる3年後の世界がどう変わっているのか、人間と社会の新しいありようが見えてくるというのは非常に楽しい。50年、100年後に振り返った時、IFDAの入賞作が時代を象徴しつつ、発見された光が世界を変えていったということが見えてくるのではないかと思う。
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