ニュース2026.07.26
飛騨産業(岐阜県高山市)は7月24日、地域産広葉樹を高付加価値な家具に生かすための技術・意匠開発と製品化を目指す研究課題「地域産広葉樹材を無駄なく使い切る高付加価値利用技術の開発」が、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センターのオープンイノベーション研究・実用化推進事業に採択されたと発表した。
この研究は、同社と国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所(茨城県つくば市)ならびに岐阜県生活技術研究所(岐阜県高山市)が共同で提案したもので、飛騨地域で培われた技術や知見を「飛騨モデル」として全国に展開し、地域産広葉樹の高付加価値化を後押しすることで、里山の維持・再生につながる森林資源活用の持続可能モデルの確立を目指すとしている。
同社によると研究期間は2029年度までの4年間で、小径材や短尺材、多様な樹種が混在する地域産広葉樹の特性を生かし、高付加価値へと展開するための加工技術と意匠開発に取り組むとともに、サプライチェーン構築のための丸太選別基準策定に協力するとしている。
主な研究課題は次の通り。
◆小径材を生かす接着部材の曲木技術開発=幹が細い小径材を繋ぎ合わせる「幅接着材」や「厚接着材」において、曲木加工の蒸煮(じょうしゃ)処理時の熱や蒸気による剥離を防ぐ接着・加工条件を確立する。ナラ、クリ、ブナ、ヤマザクラなどの小径材を活用し、飛騨産業の定番椅子シリーズなどの製品化を図る。
◆多様な広葉樹の利用へ異樹種複合積層材の三次元加工=伐採時に少量多樹種で混ざり合って産出される地域産広葉樹を重ね合わせた「異樹種複合積層材」を開発し、NCルーターによる三次元切削加工を行う技術を確立。樹種ごとに異なる木目や色が調和した、これまでにない新しいデザインの家具を開発する。
◆意匠性の高い縦継ぎ技術=短尺材を面材料として有効活用するため、外部デザイナーとの協業により、従来の縦継ぎ(フィンガージョイントなど)のイメージを一新する高い意匠性と強度を備えた新たな縦継ぎ技術を開発し、テーブル天板などへ応用する。
◆丸太選別基準策定=家具メーカーの立場から丸太選別基準の策定に協力し、山と家具メーカーのニーズをつなぐことで、地域産広葉樹がより有効に活用される仕組みづくりに貢献する。
◆最終目標と社会実装=開発した技術や成果を自社製品へ展開するだけでなく、業界団体やプラットフォームを介して全国へ普及させる。飛騨地域で培われた技術や知見を「飛騨モデル」として全国に展開し、木の価値を高めることで森を守る日本の森林資源活用の新たなモデル実現を目指す。
同社では、こうした取り組みによる製品化目標として、2029年度に異樹種複合積層材による三次元加工家具や、新たな縦継ぎ技術によるテーブル等の新シリーズの販売を開始。30年までに飛騨産業の国産材使用比率を30%へ引き上げ(25年9月期実績は19・9%)、国産材家具の売上高20億円を目指す。
また開発した技術は飛騨木工連合会や日本家具産業振興会などの業界団体を通じて全国の事業者へ普及を図り、家具製造業全体で35年に国産材製品比率30%、売上高450億円規模の実現を図る。また「里山広葉樹利活用・再生プラットフォーム(仮称)」などを活用し、丸太選別基準や加工技術を「飛騨モデル」として全国へ波及させることで、国内の広葉樹用材使用率を現在の4・3%から35年に20%、年間約40万平方㍍の用材供給増へ引き上げる後押しをする。
このほか未利用広葉樹を高付加価値化して、素材生産者・森林所有者へ適正な利益還元(年間約45億円の循環資金)を行う仕組みを構築。これにより放置里山林の適切な手入れを促進し、ナラ枯れ防止や鳥獣被害軽減、生物多様性の回復と地方創生に寄与することを目指すとしている。
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