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高山・陣屋前にホテル開業 飛騨産業が協力、意匠と技術 随所に

ホテル1階の共用スペース
朴の木のテーブルと新旧モデルの椅子

 飛騨産業(岐阜県高山市)が、地元のまちづくりグループとの共同事業としてインテリアや外装などに協力した8部屋限定のホテル「カップ・オブ・ティー・アンサンブル」が1月15日、飛騨高山の観光名所「高山陣屋」前にオープンした。同社の創業100周年記念事業の第5弾。「あるものをいかす」をコンセプトに建材・家具・寝具などを提供し、飛騨を象徴する木のぬくもりのあるホテルを実現した。

 運営は、地元出身の30代の若手3人が設立したまちづくりグループDONNA(ダナ)。「HIDAを21世紀型の持続可能な地方都市にアップデートする」という目的を掲げてホテル開業を進める中、同社に家具調達などで協力を持ち掛けたのが共同事業のきっかけとなった。
 同社は100周年に当たって「4つの価値観:人を想(おも)う、時を継ぐ、技を磨く、森と歩む」を制定しており、ホテルのコンセプトである「あるものをいかす」との共通性が高いことから、家具をはじめ、外装や床、照明などにも飛騨産業の職人の技術を提供した。
 「森と歩む」のテーマに基づいた製作では、間伐された枝を照明として利用したり、端材を束ねてローテーブルを製作するなど、スギの間伐材や小径木、端材などの未利用材、リペア品の活用を意識した材料調達を行ったという。
 ホテルの外装にも長尺の材料を使用せず、ランダムに空いた木材の隙間によって、室内の明かりが通りに漏れる構造に。ぬくもりやだんらんを感じさせ、室内からも屋外の天気や時間、四季の移ろいなどを感じることができる空間とした。
 1階共用スペースには、飛騨産業独自の圧縮スギによるフローリングや、温雅シリーズのカウチソファ。土間には朴(ほお)の木のテーブル2台と、飛騨産業の椅子、マッキンレーの新旧モデルが並び「時を継ぐ」コンセプトの一つとなった。
 2、3階の客室には、要塞(ようさい)のような構造体の2段ベッド。建物の外装同様に、隙間を空けて積まれたスギの圧縮材が、独特の質感と存在感を放つ。
 プレミアムタイプの客室には「YURURI」シリーズのソファと、端材で製作されたローテーブルが置かれている。
 同社は、これらのさまざまな取り組みを集結し、滞在型宿泊施設に求められる居心地の良い空間づくりに貢献することで「人を想う」価値観を体現したとしている。

【お詫びと訂正】家具新聞本紙2月3日付の記事の中で、ホテルの開業主体が飛騨産業であるかのごとく、誤解を招く表現がありましたことをお詫びいたします。

客室の奥にある2段ベッド
外装は不規則な隙間がアクセントに
枝の姿・形を生かしてデザインされたLED照明

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