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BIMobject Japan クラウドサービスに注目 世界コントラクト市場 BIMで開拓

建築・設計に必要なあらゆるものが並ぶ「BIMobject Cloud」
「BIMobject Cloud」の製品掲載例。3Dデータなどをダウンロードできる(協力・by interiors)

 日本政府が建築業界への普及を進めているBIM(ビム、Building Information Modeling)。建設資材や家具などの製品データを掲載する世界最大級のプラットフォーム「BIMobject Cloud」の活用が日本でも進んでいる。既に海外では家具の一流ブランドが製品データを登録しており、日本の家具業界も今後、国内外の建築業界をはじめとしたコントラクト市場開拓の営業ツールとして活用する動きが広がりそうだ。BIMとは何か。どう活用すればよいのか。BIMobject Japanにアドバイスしてもらった。

 世界200万人のユーザーが活用している「BIMobject Cloud」(https://www.bimobject.com/)をのぞいてみた。設計事務所や建設会社のユーザーは「BIMobject Cloud」から家具や建材などの製品情報やデータなどを無料でダウンロードできる。
 サイトには、家具やドア・窓枠などの建材、照明、キッチン、植栽など建物を設計する際に必要なありとあらゆるアイテムが並んでいる。興味を引く家具をクリックすると、いくつかのフォーマットの3Dデータや2DCAD、製品仕様書のPDFなどがダウンロードできるようになっている。野原産業がこのほど、オリジナル製品の組み立て式の間接照明ユニットをアップロードしたところ1・5カ月間で世界100カ国以上のユーザーから951件のダウンロードがあったという。
 国内における「BIMobject Cloud」の普及を進めている野原ホールディングスのグループ企業、BIMobject Japanによると「コロナウイルスの感染拡大による外出規制で在宅勤務が増えていることから、欧州を中心にBIMオブジェクトのダウンロード回数が2月からの約2カ月間で前年比約2倍に伸びている。中でも家具はダウンロード、検索数ともにランキング1位」という。
 欧米で普及が進んでいるBIMは、初期段階にバーチャル上で建物の構築を行うことで、設計や施工のミスと工数を減らすことができるシステム。3次元から2次元図面を作成することが可能で、3次元モデルの修正を図面にリアルタイムで反映させることができる。つまり、設計・建築のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を強力に推し進めるためのスタンダードとなるものがBIMだ。BIMの最小単位の3Dデータは「BIMオブジェクト」と呼ばれる。
 国土交通省は昨年6月、官民一体となってBIMの推進を図るため建築BIM推進会議を省内に設けた。今年2月のBIM/CIM推進委員会では、2025年度に全事業でのBIMの原則適用を目指す方針を示した。今後、DX推進を図る「デジタルニューディール」においてBIMの導入が急速に進んでいくものとみられている。
 従って現段階では、家具メーカーにとって、国内における「BIMobject Cloud」への製品掲載は、コントラクトにおける一歩進んだ最先端の営業展開として位置付けられ、設計・建築におけるブランドの注目度アップにつながるはずだ。
 海外においては、既にハーマンミラーやアルテックなど家具メーカー274ブランドの製品が「BIMobject Cloud」に掲載されている。海外コントラクト市場の開拓における掲載メリットとしてBIMobject Japanは①設計の早い段階から製品の3Dデータを採用される②外部サイトとの連動が容易にできる③分析ツールを利用すれば製品データをダウンロードした設計者や建築会社を識別して最適なマーケットや顧客分析ができる④ダウンロードユーザーとコンタクトがとれ、新規市場開拓機会を創出できる――などを挙げている。これは、国内コントラクト市場の開拓にも有効だ。
 掲載費用は、マーケティング分析の閲覧国数によって変わるが、最も手頃なプランで75万円。BIMオブジェクト制作は別途費用がかかる。BIMobject Japanは、昨年末から家具、建材、設備などのメーカーを対象に「BIMobject Cloud」に無料で掲載するキャンペーンを行ったところ約20社の製品が集まった。
 ※BIMobject Japanは、本記事を読んだメーカーにBIMobject Cloud半年間無料掲載キャンペーン(5製品まで)を行っています。申し込み、問い合わせは japan@bimobject.comまで。

BIMobjectCloudに登録しているメーカー「by interiors」の3Dデータ(協力・by interiors)
BIMobjectCloudに登録しているメーカー「by interiors」の実物の製品(協力・by interiors)
BIMの各パーツがオブジェクト情報を持ち、図面以外の多くのデータを引き出せる(出典:大塚商会)

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