視点2019.07.24
家具が好きだからこそ製造・販売に携わる。少なからずそう思っていた。ジェネレーションパスの岡本社長の話は、そんな常識を覆すかのような新鮮な発想に満ちていた。家具が好きだからこそ、気付いていないユーザーへの目配りがあるという落とし穴だ。
苦戦している中・高級家具の販売で、この発想を学び、生かせるところがあるのではないか。
家具、インテリアに興味を持つ人が増えてほしいと思うが、岡本社長が話すように、ほとんどは、家具を消費財と考え、「この家具を買うために頑張ろうという気にならない」。ECサイトでは、価格や製品の機能・デザインについて、居ながらにして複数のショップを見ながら簡単に比較できる。一つひとつの商品が、消費者の厳しい視線にさらされる。
いま現在、生活している消費者の目線に徹したジェネレーションパスの姿勢が、ECでの好調に結びついている。OtoOに関しても「消費者目線に立ったものではない」と厳しい。
6月19日号で大塚家具の大塚久美子社長にインタビューした際に、家具に対する思いが伝わってきた。大塚社長も経営者であると同時に「家具好き」の一人だと思う。岡本社長が大塚家具の店舗を訪れた際に感じたのは「芸術家」としての印象だったという。大塚家具は中国、日本でOtoOに力を入れている。
両社が考えている消費者へのアプローチについて、議論を交わすことができたらまた、家具販売の新たな地平が開けていくだろう。