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ジェネレーションパス 岡本洋明社長に聞く EC事業が急成長 消費者目線に徹する

ネットショップのリコメン堂
おかもと・ひろあき

 中・高級家具の店舗販売は一部では回復の兆しが見えているものの、いまだ苦戦が続いている。一方でインターネットを通じたEC(電子商取引)市場の成長が著しい。ジェネレーションパスが運営するインテリア製品のECサイト「リコメン堂」もその一つ。同社の昨年度の売り上げは、前年比15%増の87億円。営業利益は1億9200円でいずれも過去最高となった。来年はベトナムに建設している工場が稼働して、家具製造事業にも本格的に乗り出す。消費が低迷する中でどう売り上げを伸ばしているのか。ジェネレーションパスの事業戦略と今後の展開について岡本洋明社長に聞いた。


家具製造にも乗り出す

 ―15年ほど前に、映像化システム「思い出写真のアーカイブ」からEC(電子商取引)事業へと舵(かじ)を切ったということですが、貴社の事業の経緯とECマーケティング事業の特徴について教えてください。
 私はもともと、ソフトブレーンというIT(情報技術)企業の経営に携わっていました。コンピューターシステムの更新では、古いシステムにあるデータを新しいデータに変換して乗せ換えなければいけません。一方、記憶に残る写真を追加していく電子アルバムが普及しても、リアルのアルバムにある古い写真はデジタルに変換されずに残ったままになっています。これで何か仕事ができないかと思ったわけです。
 葬儀屋さんと共同で、亡くなった方の写真をスキャンして電子化するサービスを始めたのですが、高齢で大往生された方はともかく、若くして亡くなる方も結構いて、感情移入してつらいものがあり、スタッフは疲弊していきました。これはシステムでやらなければ無理だということで、システムを構築して葬儀屋さんに販売したのが始まりです。

 ―家具事業に取り組んだきっかけは?
 ある時、岐阜にある古い家具屋さんの写真をデータ化したことがありました。飛騨高山で規格品だけを作っている小さな木工家具屋さんで「ずっと、おがくずにまみれてやってきたがもうからない」という話をされていたので、インターネットで直接売ったらどうかと持ちかけたのがきっかけでした。
 なんとか売れる仕組みはできないかと、スタートしたのが「リコメン堂」というECサイトです。例えばコルビュジエのリモデルを売っている会社は意外に多くて、そういった会社がまとまったら売れるのではないか、いろいろな商品を集めれば、ネット上に家具屋さんのようなものができるのではないかという発想で作ったのがリコメン堂です。

 ―リコメン堂にはリーズナブルなものから数十万円まで幅広い価格帯の商品がそろっていますね。本格的にECを始めた時のユーザーの反応はいかがでしたか。
 家具を買おうと思っても、かつて町にあった家具屋さんがなくなり、ニトリ、無印良品、イケアのような規模と品ぞろえがないと消費者は買わなくなりました。高額な商品をそろえた店舗もありますが、その価格に見合う付加価値が消費者に伝わっていないのではないかと思います。
 そこで、高額所得者から普通の人まで、それぞれに合った家具が必要なのではないかと思い、3千点ぐらいそろえてマーケットに出した結果、初年度は全く売れないと思っていたところ、1千万円ほどの売り上げがありました。決して多くはありませんが、インターネットで家具は売れるという手応えをつかみ、家具とそれに付随している品ぞろえを増やしていきました。いまリコメン堂には170万点の商品があります。

 ―ネット販売での年齢層のターゲットや商品の見せ方などはいかがですか。
 年齢層は20歳から50歳をターゲットにしています。家具は人がいる限り売れます。少子化で日本の人口は多少減るでしょうが、20歳の人は毎日増えているので、20歳をターゲットにしている限り、自分のお客さんは増えるのだと考えた方がいいと思います。また20代、30代で良い家具を経験した人は60歳、70歳になっても良い家具を求めるので、マーケットは広がっていくはずです。
 ネットでの見せ方は、説明をしなくても分かりやすいという点に留意しました。家具の対面販売では、顧客にいろいろと説明して売っているようですが、私は機能性とデザイン以外は、あまり蘊蓄(うんちく)はいらないと思いました。例えば都心の40%弱は一人暮らしですが、そうした人々が暮らす1DKや2DKのドアから入る家具ということを原則としました。
(4面に続く)


おかもと・ひろあき
 ハーバードビジネススクール上級MBA課程修了。1986年4月日本信販入社。2000年12月ソフトブレーン取締役就任。02年1月ジェネレーションパス設立、代表取締役社長就任。

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