視点2018.10.03
クリーンウッド法の東京セミナーには、第1種と第2種ともに日本の家具業界として初めて登録したカンディハウスが講演、登録の実際について説明した。実務の負担の重さから、登録は無理だと考えているところも多い。既に登録、または登録の準備を進めているところは大変だろうが、事業者同士で、なるべく情報交換を進めていくといいだろう。
クリーンウッド法に対して、業界にはさまざまな意見がある。「登録にメリットはあるのか」という声が多い。本社はセミナーを通じて、この法律を海外への輸出も視野に「どうビジネスに生かせばよいか」考えている。全国8カ所のセミナーのうち、大川、飛騨、東京と回り、5日に旭川、以降は広島、静岡、大阪、山形(日程調整中)で開催することになっている。
期間中に「クリーンウッド法ばかりに熱心だが、これまでの合法伐採木材への家具業界の取り組みをどのように評価しているのか」というお叱りの言葉もいただいた。また、業界の二重負担や登録環境の整備について、この「視点」でも指摘してきたつもりだが、言葉足らずの部分もあったようだ。セミナーで全国を回る中で、さまざまな理由で登録に二の足を踏んでいる企業も違法伐採木材を国内から締め出し、合法伐採木材を使う事に関して、同じ思いを持っていることが分かった。
FSCの森林認証に比べてコストはかからないが、家具販売を取り巻く厳しい状況の中でデューデリジェンス(DD)などの負担から登録は無理だと考えているところも多い。家具業界には地域と密着して、地域材を使って家具を作っているところもある。規模は小さくても、地域のストーリー性を生かして家具を作っているところは、本来、クリーンウッド法は必要ないだろう。
今回のセミナーでは、オフィス家具を中心に、多くの業界人が集まった。アンケートでは半数以上が、登録に前向きな回答を寄せている。消費者も含めて今後も、クリーンウッド法の理解と周知、そしてこれまでの業界の取り組みとの協調など、メディアとしてできることは何か、考えながら取り組んでいきたい。
前回の「視点」でも取り上げたように、今すぐにでも解決すべきクリーンウッド法の課題は、既に業界で取り組んでいる合法木材認定事業との二重負担だ。「歩み寄り」への計画と見通しづくりを始める必要があり、そのための協議の場をつくることをあらためて訴えたい。