ニュース2026.02.10
連載第14回では、入社前のイメージと現実にギャップがあると早期離職に直結すると解説しました。今回は、そのギャップを回避する「面接手法」をご紹介します。なお、銀座英國屋は入社3年未満の離職率ゼロを達成しています。
本当の課題は「お互いの理解」
採用難が深刻化する中、「良い人材が採れない」「すぐに辞めてしまう」という悩みをよく耳にします。しかし本当の課題は採用数ではなく、「お互いを理解し合えているか」にあるのではないでしょうか。
履歴書を読み込む時間は一般的に数分、面接は15~30分が標準的でしょう。しかし銀座英國屋では全く異なるアプローチを取っています。
まず履歴書には20分ほどかけて注目ポイントにマーカーを付け、質問内容を書き込みます。出身中学から高校、大学、前職のホームページまで確認し、どのような環境で過ごしてきたかをイメージします。この準備があってこそ深い対話が可能になります。
1時間以上かけて自然な会話を引き出す
面接時間は1時間から1時間半。最初の10~15分は皆さん緊張しています。だからこそ時間をかけて、自然体で話してもらうことを大事にしています。
ここで重要なのは志望理由などの形式的な質問ではなく、小・中・大学のことまで深く聞いていくことです。人生の岐路にあたってどのような軸で判断してきたのかを伺えると、その人となりが見えてくるからです。
応募者から「そこまで読み込んでこられるとは思いませんでした。深く聞いてもらえてうれしいです」というコメントをいただくことも多くあります。
ここまで話せば、もし落ちても納得できると思えるようです。会社側も応募者の人物像を理解できているはず。それで落ちたなら求める人物像や仕事に合わなかったのだと受け止められる――そういう納得感を持っていただけることも大切です。
当社が重視する3つの視点
実際、当社が重視しているのは次の3点です。これらはエグゼクティブ層から信頼を得るために必要な素養であり、深い対話を交わしてこそ把握できる内容です。
こばやし・えいき 1981年東京生まれ。2004年慶應義塾大学経済学部卒、ワークスアプリケーションズ入社(大手企業向けERPパッケージソフトの開発・販売)、06年銀座英國屋入社(25歳)、09年銀座英國屋代表取締役社長就任(28歳)、24年社長15年目。一橋大学MBA・明治大学MBA。組織論、青山学院大学ファッション-ビジネス戦略論、100年経営企業倶楽部のゲスト講師を務める。後継者育成相談協会理事長。
困難への前向きな意味づけ
困難に最終的に前向きな意味づけをしているか。そこから「学び」を見つける姿勢を持てる人を「成長できる人」だと考えています。
具体的な試行錯誤の跡
困難を乗り越えるために具体的な工夫や努力をしてきたか。入社後にも「どうしたら?」と考え、行動に移せる人かを見極めています。
周囲への感謝と謙虚さ
周りからの協力を得ていることに気づいているか。謙虚な姿勢が信頼を得る上で不可欠です。
「お互いに合うか」を最優先する理由
家具業界もオーダースーツ業界も、職人技と人の手による価値提供が競争優位の源泉です。だからこそ採用は「数」ではなく「質」。そして「質」とはお互いの価値観や基準が合致しているかです。これは「志望理由」「自己PR」といった形式的な一問一答ではつかめません。
時間をかけた対話型選考は一見非効率に見えるかもしれません。しかし入社後のギャップを防ぎ、長く活躍してくれる人財と出会うためには、この投資が不可欠です(だからこそ、銀座英國屋では入社3年未満離職率ゼロ)。採用難の時代だからこそ、一人ひとりと真摯(しんし)に向き合う面接が組織の未来を左右すると確信しています。
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