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★廃プラからアートテーブルなど製作 イトーキ、トヨタと共同プロジェクト

トヨタ自動車本社エントランス(愛知県豊田市トヨタ町)
水素タンクの樹脂パージ材から作ったサイドテーブルとスツール

 イトーキ(東京都中央区)は5月28日、トヨタ自動車(愛知県豊田市)と連携して、両社の製造工程で発生する廃棄素材を再活用した家具の開発を推進していることを明らかにした。その一環として今回、両社の廃棄プラスチックを用いたアートテーブルとアートスツールを実験的に製作、トヨタ自動車本社に設置した。
 イトーキによると、今回アップサイクルの対象となったのは両社のプラスチック成形工程で発生するパージ材。これらは強度が非常に高いものや、カラフルで美しい外観を持つものなど、さまざまな性能、魅力を持つにもかかわらず廃棄されているプラスチック材で、廃棄物ゼロを目指し、アップサイクルの手法でこれらの素材に新たな価値を与えることに挑戦した。
 最初の事例となったのは、燃料電池自動車MIRAI(ミライ)などに搭載される水素タンクの製造工程で発生するナイロンパージ材を削り出してサイドテーブルとスツールを製作した。
 宝石のカットのように平面的な面取りを施すことで偶発的な模様や光の反射が生まれ、素材が持っている大理石のような表情を引き出したほか、あえて切削しない面を一部残すことで元のパージ材が持つ力強さを残して、この家具が生まれた背景にも思いを巡らせる仕掛けとしたという。
 またイトーキでは今回の共同プロジェクトとは別に、自社工場から排出される廃材を活用した家具の開発にも取り組んだ。滋賀チェア工場でタスクチェアの樹脂成型品を製造するプロセスで発生するカラフルなポリプロピレン樹脂を集め、溶かしながらプレスしてボードにすることで絵具を混ぜ合わせたような表情のスツールをデザインした。板材にはスリットを入れパーツ同士を差し込み合う構成にすることで、ネジや接着剤の使用量を抑えながら十分な強度を確保したという。

 量産品にはない新たな価値を生み出す

 ◇イトーキ商品開発本部商品企画部第2企画室・山本洋平氏の話
 これまでバージンの素材を使っていくつも商品を開発してきましたが、その傍らで生まれる廃棄物からも魅力的なデザインができることを今回の取り組みで学びました。素材の性質はもちろん、廃棄のされ方や頻度、どこでどれくらいの量が廃棄されるかによっても、それを生かす方法はまったく変わってしまいます。この難しい課題を楽しみ、量産品にはない新たな価値を生み出し続けるものづくりをずっと続けていきたいと思います。

 モッタイナイからもっといい未来へ

 ◇トヨタ自動車新事業企画部事業開発室・高木忍氏の話
 イトーキ様に工場にお越しいただき、もったいない素材が発生している現場を理解してくださったことが企画のスタートとなりました。加工技術にイトーキの卓越したデザイン・設計・開発の力が加わることで新たな価値を生み出すことができ大変うれしく思っています。今後も「モッタイナイがもっといいに変わり続ける」未来の共創にまい進して参ります。

チェアの樹脂パージ材から作ったスツール(イトーキ単独開発)
イトーキ・山本洋平氏
トヨタ自動車・高木忍氏

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