ニュース

★【飛騨の家具フェスティバル】「自然との共生」をテーマに10月22日開幕

約400枚の家具用材によるメイン展示
ヒダクマの井上彩氏

 飛騨の匠の祭典「飛騨の家具フェスティバル」のメイン会場展示が3年ぶりに戻ってくる。飛騨の家具フェスティバル実行委員会と協同組合飛騨木工連合会が主催する同フェスティバルは、10月22日から26日の5日間、岐阜県高山市の飛騨・世界生活文化センターをメイン会場に開催。同市と飛騨市の各社ショールームでは、新作が披露される。
 テーマは、飛騨デザイン憲章第1条「自然との共生~森に生かされ、森を活(い)かす」。飛騨の広葉樹活用事業を展開する「飛騨の森でクマは踊る(ヒダクマ)」がメイン会場のテーマブースのディレクションを担当、建築家・矢萩智氏(SYA主宰)、隈研吾建築都市設計事務所に所属する建築家のシプキン・パベル、マルティノーリオ・マルタ両氏による「Kami Kami architects」がブースの設計を行う。岐阜県内の家具・雑貨・生活関連用品をセレクトした企画ブース「Gifu Select」も初めて登場する。

森から家具になるまで
400枚の板材を会場に「仮留め」
ディレクションは「飛騨の森でクマは踊る」


 テーマブースのコンセプトや見どころについて、ディレクションを担当した「飛騨の森でクマは踊る(ヒダクマ)」の取締役CMO、井上彩氏に聞いた。

 飛騨木工連合会さんからは「自然との共生」をテーマに依頼がありました。それは、ヒダクマの取り組みと深くつながっていて、私たちも日々の活動の中で、森と人との関係、森を起点にしたものづくりの在り方を常に考えて活動しています。
 「共生」をどう見せるか。私たちは森の木が家具になるまでのプロセス、素材としての木の変せんを空間で表現することによって、森と人との繋がりを五感で感じられるブースを考えました。
 立木の段階では、枝葉や木の実、根っこがあって、それが原木になり樹皮や心材、辺材が切り分けられて製材され、乾燥に回り、木取りされます。
 家具になるまでのさまざまな木の状態をフェスティバル会期中の5日間、メインブースに「仮留(かりど)め」するというのが、今回の展示コンセプトになっています。従って、普通の展示会のように設営に使ったものを廃棄するのではなく、家具製造のプロセスに再び戻します。つまり、家具メーカーさんにお願いして、木取り前の状態の板材約400枚を提供していただいてブースを設計し、展示が終わったらまたメーカーさんに戻すことになります。
 設計をお願いした建築家の矢萩さんと「Kami Kami architects」さんは、ちゃんと元に戻せるよう設置方法に工夫を凝らしています。
 新製品を並べた各社の展示ブースが、このプロセスが具現化されるメインブースを囲むことになります。そこで、例えば「この家具の材料は、こうやって森から生まれた木からできているのですよ」という会話が生まれるような空間を目指しています。ここでトークイベントも開催される予定です。

矢萩智氏プロフィル
 やはぎ・さとる 1989年北海道生まれ。2013年東京理科大卒。15年東京理科大大学院修了。18~20年隈研吾建築都市設計事務所。20年にSYA設立。

Kami Kami architectsプロフィル
 シプキン・パべル(Pavel Sipkin) 1988年ロシア・モスクワ生まれ。2014年モスクワ建築研究所(Moscow Institute of Architecture)で博士号取得。米ニューヨークのラルフアぺルバウムアソシエイツ(Ralph Appelbaum Associates)、藤本壮介建築設計事務所を経て、隈研吾建築都市設計事務所。
 マルティノーリオ・マルタ(Marta Martinoglio) 1990年イタリア・ミラノ生まれ。2015年ミラノ工科大(Polytechnic of Milan)修了。モスクワのべルナスコーニ(BERNASKONI)、藤本壮介建築設計事務所を経て、隈研吾建築都市設計事務所。

建築家の矢萩智氏
「Kami Kami architects」のシプキン・パベル氏(右)とマルティノーリオ・マルタ氏(左)

ニュースの最新記事