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★町田ひろ子アカデミーが広島の「こども園」をコーディネート 日本の木造施設に「色彩の豊かさ」提案 バイオフィリック、神経美学駆使

緑のカーテンがある吹き抜けの遊戯室
パウル・クレーの絵画の色彩要素をフローリングに使った玄関ホール

 町田ひろ子アカデミーがインテリアコーディネートを手掛けた「IGLサムエル広島こどもの園ベル分園」(広島市安佐南区)が4月に開園した。同園は教育、福祉、医療、健康分野など60余りの事業所を設置して事業を展開するIGLグループが運営する認定こども園。サムエルはIGLグループの中で最も歴史が古く、1969年開園の安古市サムエル幼児園から同園が9園目。健康増進施設をリニューアルした。
 「Love of Nature・自然の愛」をコンセプトに自然を感じられる「バイオフィリックデザイン」を取り入れているのが大きな特徴。住宅建材・設備機器を販売するウッドワン(広島県廿日市市)、インドアグリーンの先端の取り組みで知られるプラネット(愛知県豊橋市)がインテリアコーディネートに協力した。
 施設のメインのスペースとなる子どもたちの遊戯室は、太陽の光が降り注ぐガラス張り吹き抜けホールになっており、生きた植物を使った「緑のカーテン」が張り巡らされている。
 同アカデミーは、木と緑の自然素材をふんだんに取り入れて家具や建具までデザイン。神経美学による知見を生かし、スイス出身の画家パウル・クレーの点描作品「パルナッソス山へ」をモチーフに、その作品を色分析したインテリア色彩計画をIGLに提案して、玄関ホールなど全体をコーディネートした。
 代表取締役の町田ひろ子氏は「施設に木材を使うのはいいことだが、海外の保育施設にあるような色彩の豊かさに欠けている」と指摘する。「色彩と、緑や木材の自然素材を豊富に取り入れ、世界に羽ばたく子どもの感性を養う『もう一つの家』として社会に提案したい」と新たな子ども関連施設の在り方を示した。
 内閣府の国際意識調査によると、日本は「子どもを産み育てやすい国だと思わない」と答えた割合が61%に達し、少子化対策が進むスウェーデンやフランス、ドイツを大きく上回る。政府は子ども関連施策を一元化して担う「こども家庭庁」を2023年4月に内閣府の外局として設置する。幼稚園は引き続き文科省の管轄となるが、保育所と認定こども園は新組織の所管となる。少子化対策や未来の担い手を社会で担う環境づくりが問われている。

プランターの緑で飾られたグリーンシステム収納。左右に設置したプランターの内部にあるタンクから自動的に水が送られる

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