ニュース2022.06.03
6月22日から始まるADWの家具展示会「Meet up Furniture Asahikawa 2022」は、旭川とその周辺地域に広がるADWの中核をなすイベントとなる。主催する旭川家具工業協同組合理事長の藤田哲也氏にADWと「Meet up Furniture Asahikawa」の見どころについて聞いた。
■全組合企業を訪問
――ADWのお話をお伺いする前に、昨年5月に理事長に就任され、旭川の家具産地活性化をこれからどう図っていくのかお話をお願いします。
コロナの感染拡大から2年目の先行きの見通しがたたない中で理事長に就任し、まず現状把握が必要だと思い、杉本啓維専務と一緒に組合企業を回りました。経営者の皆さんにこれからのアイデアや希望をお伺いしてディスカッションしながらコミュニケーションを図り、コロナの影響もあって4カ月かかりましたが全41社の組合企業を訪問し、工場から事務所、ショールームすべてお邪魔して状況を確認しました。
皆さんには「変えられるところはどんどんチャレンジして変えていきます。もちろん守るところは、しっかりと守っていきます」と話しました。
私からのアクションとしては「旭川家具の産業観光化にチャレンジしたい」と話しました。IFDAを含めて33年間、世界のデザインを旭川に集めた実績は非常に大きいと思っています。
札幌であればサッポロビール園、余市はニッカウヰスキーの蒸留所、いずれも産業観光化して大成功しています。旭川もこのデザインセンターのすぐ近くに男山酒造があり、大勢の観光客が訪れるところです。あさひかわラーメン村には年間50万人訪れています。旭川家具や北海道のラーメンは北海道遺産として認められているのですよ。これらの産業をPRすることで旭川家具の産地の発信力を高め、ブランド化を推進します。
その拠点となる旭川デザインセンターを10月にリニューアルオープンします。昨年の後半に産業観光で大成功している全国3カ所の施設を組合員と視察すると、ワークショップなどの体験型コーナーやギャラリーストアを併設していました。家具は、その場で即時決済できて、出来上がり次第お届けできるようにしたいと思っています。旭川の家具、木材や技術、デザインの歴史に関する資料館も併設してリニューアルする予定です。
――今回初めて全国にADWの新たな姿をお披露目することになります。
2019年、ユネスコ創造都市ネットワークのデザイン分野に加盟認定されました。このネットワークを生かしてデザイン関連事業などを推進するあさひかわ創造都市推進協議会の会長を旭川家具工業協同組合の渡辺直行前理事長が務めています。家具以外の団体、企業もこの地域の産業を活性化しようということで協議会が中心となってADWを主催しようということになりました。
■家具との出会いの場
――「Meet up Furniture Asahikawa」の名称での産地展開催も初めてですね。
ADWは、ミラノやニューヨークなど地域を挙げたデザインウイークを目指そうということで始まりました。旭川もデザイン都市として宣言して、いい流れの中で今回のADWが開催されます。
「Meet up Furniture Asahikawa」は、デザインの中心イベントとして「家具に出会う。産地で、会う。」をテーマに開催されます。旭川デザインセンターの1階はプロダクト、クラフト、工房家具ゾーン、2階はライフスタイルゾーンとなります。見どころの一つとして今回は、企画展の充実を図っており、各社の新作提案を紹介するエキシビジョン「Meet up/Exhibition」が設けられます。また旭川の過去20年間のデザイン・開発の歴史が分かるコーナーも用意しています。
もう一つの見どころは、各社のオープンファクトリー「Meet up/Open Factory」です。デザイン開発や物づくりにチャレンジする姿をぜひ現場でご覧になっていただければと思います。ガイドが同行するパッケージツアーも用意しています。
コロナ禍の状況で、テレワークに対応した家具の開発に各社とも力を入れています。北海道産材のナチュラルマークを生かした製品など、さまざまなデザインの家具が提案されます。
――旭川家具がこれから目指すべきものとは。
14年から「ここの木の家具・北海道プロジェクト」を進め、今年で9年目になります。当初は26%の北海道産材の利用率が昨年は50%に達しました。木の節などのナチュラルマークをそのままユーザーに提案して理解をいただけるようになりました。ウッドショックで輸入材の確保が難しくなる中で、地元の木を使えるメリットもあります。北海道のシラカバを利用するプロジェクトも広がりを見せています。
ポストコロナに向けて、この活動をさらに強化するために、産学官が連携して北海道の広葉樹を有効に利活用する研究会を6月中をめどに立ち上げます。素材の強度や歩留まり、ナチュラルマークの有効活用、塗装方法などを研究することになっています。
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