ニュース2021.04.07
林野庁のクリーンウッド利用推進事業に関する海外情報収集の一環として3月5日、木材生産国の伐採・流通に関する制度についての調査結果報告会が開催された。また、違法伐採対策に関する先進事例についての報告も行われた。調査対象国はカメルーン、ガボン、モザンビーク、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド。同庁から委託された3つの団体が調査結果を報告した。このうちアフリカ3カ国の調査結果の概要をまとめた。
モザンビーク
違法伐採の事例報告も
地球環境戦略研究機関(IGES)は、モザンビークの伐採制度と違法伐採の現状などを報告した。モザンビークの森林を含む全ての土地は国家に帰属し、国土の46%に当たる森林の伐採は、政府のライセンスに基づいて行われる。
主な木材製品は天然林から製材されており、パーケットやベニヤ、合板の生産が増えている。製材品の輸出先は2012年以降、中国が9割以上を占めている。
20年に新たな国家森林政策と実施戦略が策定され、制度の見直しが進められており、今後もフォローが必要という。
天然林の伐採制度は、大企業が大面積の伐採を長期的に行える森林開発コンセッションと、年間500立方㍍の上限が設けられ、小面積を短期間に伐採するシンプルライセンスがあるが、20年から両ライセンスの新規発行は停止されている。
木材の輸出はコンセッション事業者、加工事業者、政府機関のFNDS(国家持続可能な開発基金)に限られ、許可を受けた輸出業者のリストが毎年作成されている。
許可を受けた者は、年間加工木材製品輸出計画の提出が求められ、それに応じて州の担当部局による製品検査が行われ、報告書が作成された後に1年間有効な輸出許可証が発行される。
IGESは「輸出事業者がコンセッション事業者と加工事業者の場合、木材製品が生産された加工場を特定することはできるが、加工の段階で複数の伐採源が混同する可能性がある」ことをリスクとして指摘している。
モザンビークは各機関から違法伐採が指摘されている。14年のEUの報告書によると、11年の供給量が37・5万立法㍍であったのに対し、輸出も含めた消費量は127万~255万立方㍍で、伐採の79~92%が違法であったと推定されている。
国際NGOのEIAは13年に中国に輸出された木材51・6万立方㍍のうち、46%は違法だと推定している。
20年8月には、中国に向けた102の木材コンテナが押収され、その手続きに関与した9人の公務員が逮捕された。
カメルーン
不透明な伐採許可
日本森林技術協会(日林協)は、カメルーンの木材輸出先として「以前は欧州が多かったが最近は中国に移っており、17年は全体の47%を中国とベトナムが占めている」ことを伝えた。日本は丸太や製材品など年間3億円ほどの輸入額になっている。
森林野生生物省(MINFOF)が審査を行う合法証明書は、EUの森林の施行・ガバナンス・貿易に関する行動計画「FLEGT」によるライセンス交付のための書類となる。17年の第1号以来、これまで34件発行されている。
伐採から輸送・加工までの要所で森林官がチェックするデータを管理して合法性を検証・監視するシステム(SIGIF)があるが「20年12月現在、インターネットや電力供給環境、人材不足により機能していない」という。
国連環境計画(UNEP)の下部組織である世界自然保全モニタリングセンター(WCMC)は、伐採禁止樹種の伐採▽伐採許可以上の伐採▽技術基準を満たさない伐採―などが行われていることを報告している。
リスクへの対応として日林協は、輸出禁止樹種一覧の確認、森林認証やCoC認証の活用、合法証明書の活用を提案した。
ガボン
ハンマーで出所を刻印
日林協は森林面積が国土の85・9%を占めるガボンについて「木材製品の生産量や輸出量は右肩上がり。14年あたりから中国向けの木材の輸出量が増えている。日本の輸入量は19年に1億円を超えている」というデータを示した。丸太の輸出は、10年から禁止されている。
森林は国の所有が基本となっており、01年につくられた森林法典第16/2001号が事業権を民間に与えるコンセッションの全てを包括している。
森林許可制度は、5万㌶から60万㌶以下のCFAD(セーファーデー)など3パターンがある。CFADは持続可能な森林管理と生物多様性の保全などにも配慮した計画書の提出が必要になり、伐採許可は、年間伐採区域や作業計画など詳細な報告書が必要になる。現在、森林面積の約78%がCFADに基づく伐採許可を取得している。
伐採許可の所有者は、裁判所に登記された、丸太に出所を刻印するためのハンマーを所有する。 日林協は「輸出に関する厳しい規制がなく、特に貿易許可証がない」という。さらに「ハンマーで刻印した細かい情報はあるが、その情報が加工工場にどう引き渡されるのか不透明。先方政府にも確認しているが明確な回答が得られない」ことを指摘した。
今回の調査結果は合法伐採木材に関する情報を提供しているウェブサイト「クリーンウッド・ナビに」掲載される。
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