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飛騨の家具フェスティバル特集 飛騨高山の街と一体感 コロナ禍で生まれた新たな形

マスク着用、消毒、ソーシャルディスタンスなど各会場で厳重なコロナ対策が行われた
観光施設「飛騨の里」の古民家を会場にした「飛騨の工房家具新作展」

 伝統の木工技術を駆使した新作が披露される「飛騨の家具フェスティバル」(飛騨の家具フェスティバル実行委員会、飛騨木工連合会主催)が10月24日から28日までの5日間、岐阜県高山、飛騨の両市で開催された。当初は9月に予定していたが、コロナ禍で約1カ月以上開催を遅らせた。メーン会場での展示は行わず、ショールームと観光施設など飛騨高山の街を舞台に「回遊型」の展示が繰り広げられた。初日と2日目は一般客にも開放するという初の試みも行われた。政府のGOTOとラベルキャンペーンが始まって以降、観光客が戻りはじめたこともあって、多くの一般客で賑わった。商談日の26日から28日は、小売り関係のバイヤーが例年通り訪れた。

 ショールームや各施設では、検温、アルコール消毒、記名、マスク着用、三密を避けたコロナ対策が徹底された。
 今年は土曜日からフェスティバルが始まるという異例の開催となった。各社ショールームは土曜と日曜に、木工教室、絵本の読み聞かせ、クラフトマーケット、地元の物産販売などを行って一般客を招いた。初の試みだったが地元客や、遠方からも多くの観光客が訪れた。コロナ禍の中での思わぬ賑わいにスタッフたちの笑顔がこぼれた。
 「GOTOキャンペーンが始まる前は、観光客でにぎわっていた『飛騨高山古い町並』に人が歩いていなかった。キャンペーン以降は、海外に出られないせいもあってか、観光客が戻ってきた」と話す飛騨木工連合会代表理事の白川勝規氏(シラカワ会長)。
 「メーン会場をなくして回遊型の展示に変え、土日をBtoCにして各社の認知度を上げるようにした。これはある意味正解だった」。メーン会場をなくしてコストを抑え、高山市からの支援も後押しとなって、開催の決断に至ったという。
 例年、メーン会場の飛騨・世界生活文化センターで開催されていた匠・DNA展。今年は舞台を檜(ひのき)造りの土蔵をそのまま生かした「飛騨高山まちの博物館」に移した。仕事の合間に手がけた木工作品を競う職人育成プログラムの同展に、例年以上の作品が寄せられた。
 工房展も「飛騨民俗村・飛騨の里」の古民家や市内各所の各工房で催された。 
 メーン会場とショールームの往復という従来型から、市内各所に散らばった会場を回遊しながら見て回るという新しいフェスティバルの形。コロナ禍と戦いながら、より飛騨高山の街との一体感が生まれた。

飛騨産業のショールーム「飛騨の家具館」の屋外で行われた絵本の読み聞かせ。親子連れで賑わった
「回遊型にして正解だった」と話す飛騨木工連合会の白川代表

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