ニュース2019.06.19
家具新聞と東洋ファニチャーリサーチは5月17日、大塚家具の立て直しを急ぐ大塚久美子社長にインタビューを行った。大塚社長は、中国進出とEC(電子商取引)展開、国内販売、新役員体制、スローファニチャーの会設立など創業50周年を契機とした事業展開を説明し、メディアが招いた誤解について心中を語った。同社が置かれている状況は、低迷が続く家具業界そのものを映し出すものであり、今後展開する事業は、その打開を図る最先端の試みとして注目される。
―中国家具販売大手のイージーホーム(居然之家)との業務提携について、今後の中国での展開について準備されていることは?
大きく分けて三つの角度で計画しています。
一つは、5月15日にテストが始まった越境ECです。「Tモール・グローバル(天猫国際)」というアリババグループが展開する越境ECサイトでインテリア・アクセサリー商品を売っていきます。できるだけ日本の良さを知っていただけるように商品の選定を進めるとともに、11月11日の独身の日に向けて、中国ではどういうものが求められているか分析しながら商品開発を始めています。
もう一つは、イージーホームと協力しながら実際に家具を売っていくことです。イージーホームのショッピングセンターには、100以上の家具関係のテナントが集まっています。それぞれ別の運営ですから、お客さまがそれぞれのテナントでベッドやソファ、ダイニングテーブル、椅子を買っても全部別々の店から届き、1回の買い物に5回も配送があるというのが当たり前になっています。
これでは環境に負荷を与え、道路も混雑します。一回で配送できた方が、お客さまにとって便利で環境にも優しく、道路交通上も良いと思います。ところが、住宅関係の市場が急速に拡大し、イージーホームもテナントが増えているため、これまで手をつけられなかったのですが、一括配送サービスを始めることになりました。
イージーホームは集客活動を行い、テナントの代わりに代金回収をやってきました。さらに瑕疵担保保証を始めたところ、これがすごく受けたようです。
さらに、業務としての物流を考えています。イージーホームは、たくさんのメーカーから届くものを、お客さまごとにトラックに乗せて運んだり、倉庫を管理したりするソフトを持っていないため、当社が流通ノウハウのコンサルティング提案をしているところです。これが実現すると、これまでの大塚家具と同じようなサービスが中国で可能となります。
【2面に続く】
おおつか・くみこ 埼玉県春日部市出身。91年一橋大学経済学部卒、富士銀行(現みずほ銀行)入行。94年大塚家具入社、経営企画室長兼営業管理部長。96年同取締役。経営企画室長、営業管理部長、総合企画部長、経理部長、商品本部長、広報部長など歴任。2004年、同取締役退任。05年クオリア・コンサルティング設立、代表取締役就任。07年フロンティア・マネジメント執行役員就任、同年退社。09年大塚家具代表取締役社長・営業本部長。14年同代表取締役社長解任。15年同代表取締役・営業本部長復帰。
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