視点

スケール感ある展示目指せ!

 東京ドームの約7倍という世界第3位の規模を持つロー・フィエラ本会場(34万5000平方㍍)。
1㌔㍍を超えるペデストリアン・ウォークウェイの両側に20のホールが並ぶ。日本の展示では考えられない噴水など水を効果的に使った展示や2階建てのスタンド。なにもかもが圧倒されるミラノサローネ国際家具見本市だった。
 一方、ミラノ街中のフォーリサローネでは、デザイナーの小林幹也氏がカリモク家具の協力の元、シーソーやブランコといった遊具を展示した「PLAYSCAPE」など新鮮な発想でコンセプチャルな展示が展開された。
 中でも印象に残ったのは、ミラノ初出展の川島織物セルコンがリッタ宮で行った展示だった。着物の帯に使われていたデザインを再現した織物を、天井近くまで壁一面に張っていた。狭い空間ながらもスケール感があり、17世紀中ごろにつくられたルネサンス様式の歴史ある建物の内装に見事に調和していた。
 ロー・フィエラのイタリア・スタンドのスケール感に驚かされ、一流ブランドは、世界から訪れた来場者でひしめき、熱気を感じた。これだけ人を引き付けるブランド力とは何か、を考えさせられた6日間だった。同時に日本も、イタリアの一流ブランドに対抗できる力を十分に持っていることを確信した。
 経済産業省は昨年、「産業競争力とデザインを考える研究会」を初めて設け、検討結果をまとめた。日本はその技術とともにデザイン力のさらなる育成を図り、海外に打って出るべきだ。ミラノに出展している各社は、当然のことながらビジネスに余念がない。出展料と製品輸送に膨大な資金力が必要となる。
 その出展をバックアップするためにも、テキスタイルから家具、照明までデザインの総合力を結集した展示が必要だと思う。イタリアの出展に負けないスケール感のあるジャパンブランドの展示をミラノでぜひ、実現してほしい。国として日本のインテリアのデザイン力をミラノデザインウィークで効果的にアピールする手立てはないものか。

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