ニュース2026.06.13
イトーキ(東京都中央区)は、本社ワーキングショールーム「ITOKI DESIGN HOUSE TOKYO」を4年ぶりにリニューアルした。リニューアルに当たって同社では「人的資本の最大化、さらなる成果につなげる『チーム運用』の進化」をコンセプトに掲げ、能力発揮度や位置情報のデータ分析をもとに、ソロワークとチームコワークをストレスなく行き来できる空間に刷新したとしている。
従業員数5年で約1.5倍、1人あたり面積35%減
リニューアルされたワーキングショールームは、日本橋高島屋三井ビルディング11~13階にある同社本社の12階部分で床面積は約2700平方㍍。
同社によると本社の在籍人数は、2021年の850人から、26年には1300人と約1・5倍に増え、1人あたりの面積は8・5平方㍍から5・5平方㍍に約35%縮小した。
その一方で、出社率は40%から70%に上昇。次第に手狭になる中で、同社はオフィスデータ分析を基に、事業成長を支える働く環境をどう構築するかという課題に取り組んだ。
従業員の過去1年間の位置情報を、オフィスレイアウトデータ上で分析したところ、21年には高集中席などソロワーク環境の利用者の能力発揮度向上率が高く、自律した個人の働き方が見てとれたが、25年になるとオープンエリアやコラボレーションスペースの利用者の能力発揮度向上率が高くなり、自律した働き方をする個人が、協業によってさらに生産性を向上させている姿が浮かび上がってきた。
また能力発揮度が5ポイント以上向上した人は、他者との接点をつくりやすい、関係性の構築や協働しやすいスペースを長時間利用していたことがわかったという。
こうした結果から、より高い目標と高度な業務が求められるオフィスでは、一人で閉じて働くだけでは能力を発揮しにくいビジネス環境になりつつあること。特にチームで時間と場所を共有する「チームコワーク」と呼ばれるエリアをよく利用している部署では、能力発揮度が69・5ポイントとなり、同社従業員全体の65・8ポイントを上回ったという。
ソロワークからチームコワーク重視へ
同社では、こうした分析結果を踏まえ、リニューアル前のソロワークを重視したレイアウトを見直し、アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)で培った個の自律や働き方の自己裁量を基盤にしながら、チームの成長・成果へとつなげる空間へ再構築を図った。
フロアには、チーム単位で働きやすいチームコワークゾーンを6カ所配置。各ゾーンは6席から最大16席まで対応し、ゾーン単位での予約を可能とした。大型テーブルだけでなくカウンター席やソファ席を設え、個人作業や対話など状況に応じてチームコワーク時も働く場所の選択が可能となった。
またリニューアル後の席数は、前回プランの275席から304席へ増加。総席数は約110%となり、限られた面積の中でソロワーク、チームコワーク、飲食を交えた交流、イベント利用に対応する空間を再配分した。
中央の動線上には、見通しが良く人が行き交う「オープンワークエリア」を設け、ソロワークとチームコワークを切り替えやすく、他チームや多様なメンバーの融合を促している。
また、入り口や階段近くに「コモンズテラス」を配置し、カフェやリフレッシュを通じた自然な交流を生み出している。飲食可能なスペースは18席から86席へ約4・4倍に拡張した。
人・情報・アイデアが流れるデザインへ
新たな12階のデザインでは「日本橋」という立地が持つ歴史性も空間に反映させた。日本橋は江戸から続く商いと文化の街であり、人・モノ・情報が行き交う結節点になっている。その文脈を受け継ぎ、12階は人・情報・アイデアがゆるやかにつながり、組織に新しい流れを生み出す場として設計。川のように人が流れ、出会いが重なり、組織の力に変わっていく日本橋ならではの流れを、現代のオフィスデザインとして表現している。
チームで集まる場を固定的な造作ではなく、家具で構成している点も特徴で、チームコワークエリアを家具でビルトインすることで、今後の組織変更や働き方の変化に対応しやすくした。
運用面では、オフィス運用のAI化を本格化するデバイスソリューション「イトーキオフィスデバイシズ」のプロトタイプを新たに搭載。チェア専用型やボックス型をはじめとするセンサーデバイスは、会議室や予約席における不在を検知、利用状況の表示や予約の自動開放、実利用人数の把握などを通じて、オフィス利用上の無駄や不便を可視化している。これにより、利用者は空いている場所や目的に合ったスペースを見つけることが容易となった。
今後は今年2月に発表した「ITOKI OFFICE AI AGENTS」と連携し、働く人の予定、人数、利用傾向に応じて最適な場所を即座に提案する仕組みに発展させていく予定という。
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