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★大船渡山林火災 被災木の利用が本格化

焼損度「激」の丸太の試験サンプル(写真提供:岩手県)
情報衛星による大船渡市三陸町の山林火災の加工画像(内閣官房内閣情報調査室)

 昨年2月に発生した岩手県大船渡市の山林火災の森林再生計画が3月27日にまとまった。約3700平方㍍におよぶ被災について、国庫補助による森林災害復旧事業の予算は約117億6000万円。事業期間は2025年度から28年度まで。
 今年度、さらに流通の増加が予想される被災木については、力学特性において健全木とそん色ないという調査結果が既に発表されている。
 森林再生計画は、私有林および市有林を対象とし、被害が大きい人工林については、森林災害復旧事業を最大限に活用して被災木の伐採や植栽等を優先的に進めつつ、土砂流出対策や被災木の利用など、多面的なアプローチで再生が進められる。
 天然林については、天然更新による自然再生を基本としている。市有林の再生に当たっては、森林J-クレジットの創出・販売、市有林材の売却収入、基金の活用等により、森林再生対策の財源を確保する。
 植栽樹種に関しては、延焼しにくい多様な林相に誘導するように配慮される。スギ、アカマツ、カラマツ、ヒノキ、広葉樹はコナラ、クリ、ブナ、ケヤキ、カエデなどの苗木が選定樹種として挙がっている。
 計画は、森林再生・防災対策ゾーン(2346.9㌶)、森林ふれあいゾーン(35.71㌶)、森林育成ゾーン(987.54㌶)の3つのエリアにゾーニングされて進められる。
 被災木の利用については昨年7月、岩手県林業技術センター、京都大学、東北大学が共同で大船渡私有林のスギ被害木の力学特性の調査を行った。調査項目は樹皮厚、縦振動ヤング係数、曲げヤング係数、曲げ強度、引張強度。焼損度「低」「中」「激」のサンプルを使用して行われた。
 その結果、火災発生から4カ月ほど経過した被災木の強度性能について▽焼損の多くは樹皮でとどまっている▽焼損度が高くなると樹皮厚は減少傾向▽加工性、板材の見た目は健全材と変わらない▽丸太の強度性能は健全材と同程度▽板材の強度性能は集成材に利用可能なレベル―であることが確認されている。利用については森林組合が窓口になっている。盛岡駅リニューアル工事の際に柱の装飾として使われたり、被災木を使ったペット用品などが発売されたりしている。
 山林火災の被害については、延焼範囲約3694㌶におよんだ。このうち2月19日に大船渡市三陸町で発生した火災が324㌶、26日に同赤崎町で発生した火災が3370㌶。昨年、局地激甚災害に指定されている。
 被災森林の総面積は約3370㌶で被害額は約59億3900万円。このうち人工林は全体の53%に当たる1784㌶で、天然林は同42.4%で1431㌶。樹種は人工林のスギが44.9%(1513㌶)、天然林の広葉樹は35.9(1211㌶)%を占めている。
 被害森林の復旧については、2月19日の第2回の災害査定で人工林延べ1279㌶において森林災害復旧事業の実施が決定されている。事業費は約118億円。第1回の査定で決定した120㌶のうち約25㌶については、大船渡市が気仙地方森林組合と契約し、昨年11月から被害木の整理などが実施されている。

令和7年大船渡市大規模林野火災等に係る森林再生計画から引用

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