ニュース2024.07.08
住友林業(東京都千代田区)は7月5日、東京慈恵会医科大学などと共同で、木質内装の治療環境が、うつ病患者の精神・心理療法に補助的な効果があるかどうかを調査した検証結果を発表した。それによると木材を用いた心理療法室の木の香りは、うつ病の治療を導入・継続していく上での後押しとして有効であることが示唆されるとしている。
この研究は、同社と慈恵医大、BrainEnergyの3者が2020年11月から「木質内装建材や木の香りにより構築された治療環境が精神・心理療法の効果に与える影響」に関する共同研究を進めてきたもので、6月に開かれた日本精神神経学会学術総会で研究成果を発表した。
それによると臨床試験は東京慈恵会医科大学附属病院精神神経科に通院中のうつ病性障害患者20人を対象に行われた。同じ広さの2つの心理療法室のうち1つの部屋の床、壁、机をスギ材で木質化し、通常の白いクロス壁の診療室とランダムに振り分けた患者10人ずつに認知行動療法(CBT)を16週間かけて実施。治療環境の違いが精神・心理療法の効果にどのような影響を与えるかを検証した。
「香りの好ましさ」については通常の診療室の0点に対して木の心理療法室は0・889点と有意に高く、好印象につながった。香りの好ましさは「抑うつ・不安」が強いほど高い傾向を示し「香りがよい」と回答する割合が高かった。
一方で 「室内の好ましさ」の測定では①快適さ②香り③温度④空間⑤明るさのうち、香り以外では差は認められなかった。
うつ病の治療では、適切な治療をいかに継続するかが重要な要素で、今回の検証で木質化した環境、特に木の香りは好印象につながり、うつ病の治療を導入・継続していく上での後押しとして有効であることが示唆されるという。
住友林業では、植物や木材など自然の要素には、抑うつ・不安の軽減効果が期待され、自然とつながりたいという人の欲求を取り入れたバイオフィリックデザインは、ストレス改善をサポートする手法として注目され、今回の共同研究の成果を生かし、より多くの人々に、より快適な空間づくりを目指すとしている。
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