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★国産材活用の幅を広げる木質エイジングの独自技術 飛騨の家具フェスティバルに登場 飛驒産業がプロトタイプ出品

木質エイジング技術を使った「穂高」
木材の色のバラつきを低減できる

 10月21日に岐阜県高山市で開幕する匠の祭典「飛騨の家具フェスティバル」に国産材活用の幅を広げるパナソニックの独自技術が登場する。
 飛驒産業(岐阜県高山市)は10月5日、パナソニックハウジングソリューションズ(大阪府門真市)が開発した「木質エイジング技術」を使った家具のプロトタイプを出品すると発表した。
 家具用材に不向きとされてきた国産樹種のウダイカンバ(メジロカバ)を、この木質エイジング技術で加工してロングセラーシリーズ「穂高」を製作、「自然に時を重ねたような落ち着いた印象とナチュラル感を備えた魅力的な表情に仕上がった」という。
 パナソニックハウジングソリューションズが開発した木質エイジング技術「マイスターズ・ウッド」は▽心材(赤身)と辺材(白太)の色の差がはっきりとしている樹種の源平材(赤白材)も適度な統一色調にすることが可能▽時を重ねた天然木に現れる深みを、経年変化を待たずに表現、特殊な熱処理を施すことで、表面だけでなく内部までも色を変化させ、「木目」「色彩」「照り」などを豊かにし、木材の表現範囲を広げる▽紫外線などによる表面の経年劣化(変色)を軽減し、天然木の美しい状態を長期で保つことができる―という特長を持っている。これまでフローリングやシステム会談、玄関框などに使われてきた。家具に使われるのは初めて。
 今回の出展は、飛騨地域の広葉樹の活用に取り組んでいる飛騨の森でクマは踊る(岐阜県飛騨市、ヒダクマ)の呼びかけによって実現した。
 日本の山林に蓄積される木材を有効に活用することを目的としたプロジェクトの一環として、飛騨市の林業、製材業関係者や製造に携わる企業が連携し、パナソニックハウジングソリューションズが持つ木質エイジング技術をはじめ、地域材などを活用したプロトタイプを飛騨の家具フェスティバルのメイン会場である飛騨・世界生活文化センターに出品する。
 飛騨産業は、「穂高」のほか、飛騨市産のホオノキ材の表情をそのまま生かした猫家具「medel(メデル)」を出品、柿下木材工業所も木質エイジング技術を活用した製品を披露する。
 メイン会場で開催されるトークショーでは24日、「サーキュラーエコノミーの観点からこれからの工業製品のあり方を考える」をテーマに、パナソニックホールディングスの中田公明氏、パナソニックハウジングソリューションズの森健次氏、飛驒産業デザイン室プロダクトデザイングループ次長の舛井敦氏、柿下木材工業所代表取締役の柿下孝司氏が登壇する。

時を重ねた天然木に現れる深みを、経年変化を待たずに表現することができる
各材種のエイジング処理前(左)エイジング処理後(右)
キセノン40時間照射後のサンプル

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