ニュース2023.10.08
飛騨の匠の伝統と技術の祭典「飛騨の家具フェスティバル」が10月21日に開幕する。飛騨の家具実行委員会と協同組合飛騨木工連合会が主催する同フェスティバルは、岐阜県高山市の飛騨・世界生活文化センターをメイン会場に、同市と飛騨市の各社ショールームで新作が披露される。テーマは、飛騨デザイン憲章第2条「人がつくる ~人がつくり、人をつくり、人とある~」。メイン会場では、飛騨の広葉樹活用事業を展開する「飛騨の森でクマは踊る(ヒダクマ)」と、大阪の中津を拠点に活動する設計事務所「tamari architects(たまりアーキテクツ)」のコラボによるテーマブースが登場。会場レイアウトも一新され、飛騨の工房と一体となった、「人がつくる」メイン会場の姿が見られそうだ。
2021年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で飛騨の家具フェスティバルは、人が集まるメイン会場での開催を断念せざるを得なかった。コロナの行動制限が解除された22年、「自然との共生」をテーマに復活したメイン会場のコンベンションホールでは、テーマ性が凝縮されたブースが登場し、地域の材料の活用や技術、これからの飛騨に関するトークショーが展開され、ホールは熱気を帯びた。
今年のメイン会場は、さらに飛騨ならではの地域性とつくり手たちの思いが凝集され、テーマである「人」が集い、コミュニケ―ションの輪が広がる場となりそうだ。
これまでとの大きな違いは、会場全体のレイアウトが大きく変わったこと。飛騨・世界生活文化センターのエントランスに出展していた飛騨地域の工房の展示がホールに集まる。来場者は、ホールの入口から、四列に並んだ飛騨木工連の展示の奥にテーマブースを臨み、さらにその奥に飛騨木工房の会と飛騨高山つくり手の会のブースが配置される。
テーマブースを設計するtamari architectsは、寺田英史氏と的場愛美氏の二人の建築家からなる。寺田氏は建築家のドットアーキテクツ、的場氏はE―DESIGNに在籍して22年にtamari architectsを立ち上げた。
農村の慣習としての助け合いを表す「結(ゆい)」をモチーフに、屋根の下に、地域で連帯したものづくりや人が集まる集落のような空間をイメージして設計される。高さ4~5㍍の5つの屋根には広葉樹の端材などが使われる。
テーマブースをディレクションしたヒダクマ取締役CMO、井上彩氏によると「人がつくることを綿々と続けてきた飛騨地域を象徴する形になる」という。
21と22日の土日は、テーマブース内で、クラフトや小物などを展示販売する「飛騨つくり手市」が初めて催される。訪れる一般客は、作り手と直接会話しながら作品を購入できる。職人が暮らす地域の魅力を発信する目玉イベントになる。
テーマブース内では連日トークショーが開催される。オープニングの21日は、高山市の田中明市長とアートディレクターで高山市議会議員の戸田柳平氏をゲストに迎え、飛騨木工連合会代表理事の白川勝規氏(シラカワ 代表取締役会長)とともに「ものづくり、ひとづくり、まちづくり~新たな価値の創出とは~」をテーマに語り合う。ファシリテーターは、飛騨木工連企画委員会でフェスティバルの準備を進める同連合会副理事長の北村卓也氏(日進木工代表取締役社長)が務める。
「広葉樹活用サミット2023in 飛騨」(22日)は、モリアゲ代表の長野麻子、ヒダクマ取締役会長の林千晶、飛驒産業代表取締役社長の岡田明子の三氏が、広葉樹をテーマに、森・地域・ものづくりの未来のあり方を考える。
「サーキュラーエコノミーの観点からこれからの工業製品のあり方を考える」(24日)では、飛騨の家具メーカーとパナソニックハウジングソリューションズによる、サーキュラーエコノミーの観点からこれからの工業製品を考えるトークイベントになるという。
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