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★【2023飛騨の家具フェスティバル特集】国産広葉樹利用に向けて製材所の再生が第一歩 飛騨木工連合会代表理事 白川勝規氏に聞く

白川勝規代表理事

 ――今年のメインテーマに込められた思いとは。
 飛騨木工連合会にある企画委員会の若手が、まさにいま頑張ってフェスティバルの準備を進めているところです。今年のテーマである飛騨デザイン憲章第2条「人がつくる ~人がつくり、人をつくり、人とある~」とは、人がつくり、人が継承してつないでいくという流れの中で、伝統をつくって進化させていくことであると私は考えています。
 白川郷の合掌造りの屋根は、みんなで協力しながら年に一軒ずつふき替えをしており、テーマブースのキーワードになっている「結(ゆい)」のゆえんとなっています。家族や友人、職場の仲間たち、人と人が互助の精神で解決し合いながら少しずつ進歩していく。会場で「人がつくる」を表現するテーマブースを、ぜひ皆さまに見ていただきたいと思います。
 ――今年もトークショーの話題が豊富で楽しみです。
 昨年は飛騨、高山の両市長を招いたトークショーを開催しました。そこでは「飛騨プレミアム」という地元の材料を使っていけるような体制の構築と、下呂市や白川村も含めた飛騨全体で盛り上げていくことが提案されました。
 今年は高山の田中明市長、飛騨高山に江戸後期より七代続く伝統の窯元、渋草柳造窯で生まれ育った戸田柳平氏(アートディレクター、高山市議会議員)をお招きします。
 旭川家具工業協同組合では、国産材の利用率が50%を超えていますが、飛騨は20%前後です。私たちはもっと国産材を使いたいのです。いま情報交換を進めているところですが、旭川市には大手の製材工場があります。高山市は、製材工場が100社を超えた時もありましたが、今では広葉樹をひける製材工場はほんのわずかです。高山市の93%を森林が占めています。その豊富な森林資源を生かすために、行政の補助のもとで、製材工場を再生することが、まず第一歩になります。国土交通省、林野庁、経済産業省も巻き込み、行政に横串を刺しながら進めていかなければならないと思っております。
 針葉樹に力を入れるのはわかるのですが、サステナブルな林業を進めるためにも、広葉樹にももっと力を入れてほしいと思います。国有林には広葉樹林があるのですが、その調査と活用をもっと進めるべきです。
 ――円安や人口減少など家具マーケットの厳しさが増していますが、影響はいかがでしょうか。
 市場は厳しくなっていますが、日本の家具メーカーは、これからもっと良くなっていくと考えています。この30年間は中国製品が市場を席巻していました。その為日本の家具メーカー数も激減しました。しかし、昨今は円安等で輸入製品価格が上昇し、輸入家具市場はシュリンクしています。日本のメーカーにとっては、反撃のチャンスです。
 これからは、国内で家具を製造して、メンテナンスまで出来るという事が強みになっていくと思います。今年前半は旅行や飲食など消費が外に向いたこともあって苦しかったのですが、ここ2、3カ月で売り上げが回復してきています。それは中国製品の圧力が下がっていることも大きく影響していると考えます。
 輸出については、今後も海外バイヤーの飛騨高山への招聘(しょうへい) を進めていきます。歴史と文化に触れながら、私たちのものづくり、すべての製品を見ていただきたいと思います。
 ――来場者へのメッセージをお願いします。
 飛騨はこれまで、サステナブルなものづくりを綿々と続けてきました。全国の皆さまにいらしていただいて、メイン会場の「飛騨世界生活文化センター」、各社ショールームに足を運んでいただき、工場での製造現場まで見ていただきたいと思います。皆さまの御来場をお待ちしております。

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