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★「オフィスとホーム」融合進む「オルガテック東京2023」アジアの職住環境に新風

西館アトリウムに設けられた緑をあしらったバイオフィリックガーデン「エクスペリエンス・エリア」
来場者でにぎわう会場

 アジアを代表するオフィス家具の見本市「オルガテック東京2023」が4月26日から28日までの3日間、東京ビッグサイト西1・2ホールで開催された。主催したケルンメッセと日本オフィス家具協会によると、前回の約2倍となる127社・団体(国内82社、海外45社)が出展、3日間で2万6212人が会場を訪れた。日本だけではなくアジアの家具見本市に新風を巻き起こすオルガテック東京の今年のトレンドを紹介する。

 今回のオルガテック東京では、これまで家庭用家具を主力としてきたメーカーの出展が昨年よりも増え、オフィスに木製家具の温かみを導入しようという提案が目立った。
 昨年出展したカリモク家具は「なんでも作るよ」をテーマに、カリモク・ニュースタンダードやカリモク・ケーススタディシリーズなど、これまで同社が内外の企業やアーティストらと手掛けてきた製品を数多く紹介した。
 今回初出展のカンディハウスは、北海道産材を使った木製家具や環境に配慮したものづくりを通じてオフィスのコミュニケーションを活性化させる空間を提案。同じく初出展の飛驒産業は、オフィスで「働く×暮らす」を自由に横断するワークスタイルを提案した。
 このほか出展各社は、世界的な展示会の流れとなっている持続可能な社会実現を目指すSDGsなどへの取り組みをアピール、環境に優しい素材やリサイクル素材を利用した製品も多数展示された。
 初日と2日目の夕刻にはドイツ・ケルンのスタイルを踏襲したパーティー「オルガテックナイト」が催された。リラックスした雰囲気の中、参加者はビールやワインを片手に歓談。コンサートも開かれるなど国内展示会では珍しい試みとなった。
 会場で行われるイベントのアナウンスは、日本語と英語で行われ、ブースを案内する会場マップも英語が併記され、国際色豊かな見本市となった。
 ケルン見本市会社アジア太平洋統括部長のマティアス・キュパー氏は本紙のインタビューで「日本はデザイン、クオリティーでアジアをリードする国」として東京開催を位置付け「さまざまな国々に参加していただきたいと考えている」とさらなる国際化への抱負を語った。
 26日はプリモ・オルピラ氏が未来のワークプレースをテーマに基調講演を行い、会場は熱気に包まれた。数々の一流企業のオフィスデザインを手掛けたオルピラ氏の「企業の多様性を尊重し、深いコミュニケーションの中でその企業にふさわしいデザインを生み出していく」という話に来場者は聞き入った。

来年は5月に開催
 今回のテーマは「SHIFT DESIGN~デザインは働き方を自由にする~」。優れたワークスタイルやワークプレースの可能性を創造し、イノベーションを生み出すデザインに着目した。
 会場中央には緑をあしらったバイオフィリックガーデン「エクスペリエンス・エリア」が設けられ、気鋭のクリエーターによるセミナーや出展者によるプレゼンテーションが連日開かれた。
 各社の出展ブースでは、コロナ禍の3年間を経て、在宅ワークをはじめ必要に応じて働く場を選ぶABW(アクティビティー・ベースド・ワーキング)を意識した家具や空間提案が見られた。
 製品紹介とともに各社が力を入れたブースデザインのコンペティション「ベストプレゼンテーションアワード」では、祭りをテーマに楽しいブースを展開したコクヨがグランプリに選ばれた。
 日本オフィス家具協会(JOIFA)の黒田章裕会長は「おかげさまで2回目のオルガテック東京を開催することができ、コロナ後のオフィスづくりを模索されている多くの方にご来場いただいた。各出展者自らが描く未来像を意識した提案がなされ、今回のテーマである『SHIFT DESIGN』のストーリーが来場者に届いたのではないか。いただいたご意見を来年に生かしていきたい」と次回への抱負を述べた。
 次回のオルガテック東京は、2024年5月29日から31日まで予定されている。

初出展した飛騨産業のブース

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