ニュース2023.05.19
2017年に施行されたクリーンウッド法(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)の改正案がこのほど成立した。一般財団法人「地球・人間環境フォーラム」とともに持続可能な木材調達を普及させる活動を続けている「FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)」理事の三柴淳一氏に同法改正のポイントと今後の課題について聞いた。
――今回の改正ポイントと今後の課題をどう考えますか。
大きなポイントとして、2点あります。1つは第一種木材関連事業者に対して、合法性確認が義務化されること。もう1点は、小売事業者を木材関連事業者に含めたことです。
義務化によって私たちは一歩前進したと思っているのですが、第一種木材関連事業者がそもそも誰なのか、明確に把握できていないことが問題だと思っています。つまり義務化の対象が明確化されていないのです。
輸入木材については当然、税関を通過していますから、財務省は情報を持っています。それが林野庁に共有されていないのです。その点が一番大きな問題だと思っています。輸入量が多い会社から個人事業主まで通関データを全て国が把握しているはずです。個人情報保護法や貿易相手国による開示条件などがあるため、法律を運用するために必要不可欠な情報であったとしても、政府間で共有できないようで、理解に苦しみます。
公表はできないかもしれませんが、ガバナンスが低く違法伐採のリスクが高い国の木材をどこが扱っているのか税関は把握しているはずで、政府がどこに重点を絞るかという時に、それは必要不可欠な情報です。
――木材を加工する側からさかのぼるのは難しいですか。
小売事業者を木材関連事業者に含めたというのは、そういう意図もあると思います。ただ、義務が課されているわけではないので、果たしてどこまでできるのか。最も効率的なのは、政府同士で税関のデータを共有して把握することです。大きなボリュームで輸入している事業者が補足できれば、合法性確認の割合は向上するでしょう。
しかし、ボリュームゾーンよりもそれ以外の方が、違法リスクが高いのではないかと思います。少量だがリスクが高いところを明らかにするようなやり方のほうが、効果は高いものと考えます。
――ほかにも政府に提言していますね。
まず、違法リスクの高い木材の日本市場への流入を阻止する姿勢をより明確にしてほしいということ。違法伐採対策の強化、あるいは合法木材の積極的な流通に関して、数値目標、タイムラインが明確にされていません。
次に、政府に合法性確認の判断基準を示してほしいということです。EU木材規則では、違法伐採に関して、5項目を適応法令の基準として定め、線引きしています。ところが、日本の場合は法律の条文に伐採に関する合法性について触れるのみにとどめています。合法性を確認する事業者からすると、一体どこまで合法性を確認すればいいのか。例えばQ&Aなどで、林野庁が考える合法性や適応法令の範囲を示した方がいいと思います。
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