ニュース2023.03.23
アメリカ広葉樹輸出協会(AHEC)は、チェリーや、日本であまりなじみがないヒッコリーを「アメリカ広葉樹プロジェクトCherry&Hickory」としてIFFT東京国際家具見本市で紹介、両材の特長を生かして加工された家具などを一堂に展示した。
チェリーは国内でも使われているが、ヒッコリーについてAHEC日本代表の辻隆洋氏は「木の自然な表情が受け入れられるようになった日本市場でも可能性があり、価格的にも使いやすい。日本の木工技術があるからこそ、その良さが引き出せる」と家具メーカーに勧めている。AHECのプロジェクトでヒッコリーを紹介して以来、丸庄(福岡県大川市)など、高い技術を生かして商品開発しているところもある。
今回のプロジェクトには、広島県府中市の土井木工、松井木工、若葉家具の3社、福岡県朝倉市のシキファニチア、静岡市の起立木工、静岡県藤枝市のボーボワの家具メーカー計6社、北海道小樽市の新宮商行、広島県福山市の福山キッチン装飾が展示に協力した。
技術力で最大限に個性生かす
土井木工は2003年に誕生したブランド「AUTHENTICITY(オーセンティシティ)」20周年記念として新たな材種に挑戦、ソファにヒッコリーの白太を使い、リビングテーブルは、赤身と白太のコントラストを生かして中国山地の雲海を表現した。
専務取締役の土井健嗣氏は「フィンガージョイントでつなげば、材の割れを防いでしっかり使える。製材所が赤身と白太に分けてくれれば、ハイクラスの製品にも通用する」。さらに「小物にも使える」と紹介してくれたのは、土井氏自身がデザインした人気のネコ型ボディーブラシ。「ヒッコリーを使うと赤身と白太のコントラストで三毛猫っぽくなる」と笑顔で話した。
シキファニチアは、チェアとスツールの人気シリーズにヒッコリーとチェリーを使って展示した。チェリーは、ユーザーの選択肢の一つとして使ってきた。「根強い人気がある。色の変化を好む人もいる」と代表取締役の志岐秀明氏。
ヒッコリーを使うのは初めてで、赤身と白太のコントラストをキャラクターとして製作。チェリーについては「色が変わることなど販売店がいかに消費者に浸透させるか」がカギになるという。「全体的なプロモーションによる販売の土壌づくりも大切」と話した。
起立木工は、チェリーを使ってカムイシリーズのテーブルと椅子、アネロチェアなどを展示した。背と座を深く削り込んで掛け心地の良さを実現したカムイチェア、背のカーブが美しいアネロチェアとともに職人技を駆使して仕上げている。
専務取締役の高橋正太郎氏は「立体的なデザインが多いので、ブラック系の方がより奇麗に見えるが、取引先からの要望もあってチェリーを選択肢の一つとしている」と話した。
ボーボワは、ヒッコリーの自然な表情を生かした新作ラウンドテーブル、チェリーを使った「レヴェイユベッド」とサイドテーブルを展示した。
ラウンドテーブルを作った代表の平盛勇治氏は「まだプロトタイプだが、今回は赤身を生かすことに挑戦した。デザイン的には、材として主張しすぎるところが難しかった」と自ら加工した感想を話した。
サイズは400~700㍉で6段階用意した。立方体をイメージして、奥行きと高さのサイズを同じにしながら、天板の厚さは縮尺して変えている。「この材をどう使いこなすか。面白い木だと思うのでぜひ日本に広めたい」と語った。
※製品写真はアメリカ広葉樹輸出協会提供
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