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★家具・建材向けに地産材を多品種少量生産 きたもっくが製材所「木挽ラボ」稼働

開設された製材所「木挽ラボ」

 浅間高原北麓の広葉樹を中心に林業事業を行っている「きたもっく」(群馬県北軽井沢)は1月20日、地域資源活用工場「あさまのぶんぶんファクトリー」内に、多品種少量生産が可能な製材所「木挽(こびき)ラボ」を同月から稼働すると発表した。
 これにより同ファクトリーは、地産材を計測・仕分け・製材・乾燥・仕上げ加工を行う、家具、建築、薪など最終商品に向けた林産加工場となり、広葉樹が主力の小規模林業地帯でも事業性が見込める製材業を実現して、中山間地域の産業インフラを担うとしている。
 同社は2019年に地域山林(約240㌶)を取得し、浅間高原北麓の豊富な広葉樹を中心に計画伐採を行い、あさまのぶんぶんファクトリーで薪や建材、家具材に加工している。
 同社によると新設された木挽ラボでは、地産の広葉樹とカラマツを中心に製材。自社開発の薪ボイラー式低温除湿乾燥機を活用して、色艶・香りの残る乾燥材に仕上げることが可能になったという。
 加工された地産材は、自社のキャンプ場や建築事業で活用するほか、国産広葉樹の家具材やフローリング材など、あまり流通していない希少木材を中心に販売していく。また、地域産業のインフラとしても機能するよう、材料持ち込みの製材サービスも順次提供していく予定。
 群馬県長野原町は、広葉樹の天然林とカラマツの人工林の面積が合わせて約71%を占める林野面積占有率の高い中山間地域。かつては薪や炭の生産地だったがエネルギー革命とともに衰退し、近年では広葉樹は主に木質バイオマス発電の燃料やキノコの菌床など利用されているものの、健全な山林育成や地域産業発展などに課題を残している。
 この地域では約40年前に製材所が撤退したため地産材を木材として加工できず、地域資源の活用や事業創出を見い出せない状況が続いていた。

■中山間地域の産業振興テーマにウェビナー

 きたもっくは、地域資源の多面的な価値化と、キャンプ場を拠点として地域の未来を持続可能な形で創造していく事業により2021年度グッドデザイン賞金賞を受賞した。今後は同じ志をもつ他地域との連帯で、日本の中山間地域における産業モデルの構築を目指していくとしている。
 同社では「自然をいかした地域振興とキャンプ場の未来」をテーマに2月2日20時からオンラインセミナー(ウェビナー)を開催する。キャンプ場を基点に地域の魅力を発信する取り組みを行っている事業者と、キャンプコーディネーターの佐久間亮介氏による対談が予定されている。視聴は無料。視聴申し込みはhttps://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf6fdDuUdLKOFu1kDILOUfpXsk6rukVN2Hs0SYKG30Hfk6BGQ/viewform

薪ボイラー式低温除湿乾燥機
広葉樹を中心に計画伐採
伐った木材を薪や建材、家具材として加工

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