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アメリカ広葉樹輸出協会 懇談会② パネルディスカッション 米国内需要増、家具用材の確保を

木材6団体・企業が参加して意見交換が行われた

パネリスト
全国木材組合連合会
常務理事 森田 一行氏

新宮商行
社長 坂口 栄治郎氏

空知単板工業
社長 松尾 和俊氏

物林
社長 淡中 克己氏

ハウディー
会長 鮫島 修二氏

北三
取締役 樽井 康弘氏


 辻 日本の家具・内装材市場の現状について意見交換したいと思います。
 鮫島 木質内装材については、昨年、台風19号が上陸し、消費税が上がった直後の10月に住宅の受注量がかなり落ち込みました。その後、受注量が上がってきましたが、3、4月にコロナの影響で、再び大手のホームビルダーさんの受注がかなり落ち込み、その影響がこれから出てくるという方もいます。ここにきて、各住宅メーカーさんの受注量がかなり上がって、前年比130%というところも出ていますので、住宅全体としては、10~15%ほどの落ち込みで済むのではないかと見られています。ただ坪単価80万~100万円の受注が多いビルダーさんは受注が増えていません。逆に40万~50万円の住宅メーカーさんの受注が非常に多くなっています。広葉樹の輸入量は減っていませんが在庫は増えています。また、大型ホテルの計画の延期による影響も出ています。
 樽井 納期が遅れるだけではなくて、予算の関係で天然木がシートに変わったりするのが一番困ります。
 坂口 家具メーカーへの販売数量が減っていることは間違いないと思います。ただコロナで家で過ごす人が結構増えてきていますので、家の中にお金をかけようという動きが少しずつ増えている実感があります。
 淡中 最近、無垢材志向で高級フロア材は意外と伸びています。ただ大型リゾート系など着工が来年に延びていますね。それから、国産材の広葉樹に関する問い合わせが増えています。
 辻 森田さん、国産材の需要振興についてはいかがですか。
 森田 国産材は伸びていますが、その大半はバイオマスや合板に使われ、高く売れる木になっていないのが実態です。今は急速に主伐した材を使うようになってきて、植林するためにも量だけではなくて高く買ってもらうことを考えないと。広葉樹については、資源があることと、それが使えるかどうかは別の話で、山にはあるが出せないとか皆さんお聞きになっていると思います。ナラ枯れがあちこちに出ているのは要するに切ってこなかった広葉樹がたくさん残っているからです。スギを植えるのはどうかという議論が出ていて、例えば早生樹のセンダンとか、それをツキ板や家具に使えないかといった、スギ、ヒノキだけの林業から少しずつ変わってきていると思います。
 淡中 ここ3、4年、フローリングや家具において、節がついていても違和感なく売れるようになっています。その中で国産広葉樹についてもいろいろな樹種を試してみましたが、結論から言うと私のところは、材の安定供給ができないので手を引きました。今はやはりナラのブームで製材品の価格が3、4年前の2倍から3倍になっています。アメリカ広葉樹はウォルナットがはやっていて、チェリーの需要が少し落ちてきています。
 松尾 私のところもホワイトオークに移行しています。最近はナラ材やニレ材の単発的な需要は根強いと思います。
 辻 今秋以降の日本の木材市場動向についてお聞きしたいと思います。
 鮫島 中国で家具を作っていた会社がベトナムに工場を移転して米材を輸入しているところが増えているようです。ハノイやホーチミンでは、かなり大きな製材工場ができつつあり、製材量も増えていると聞いています。まだまだ伸びるのではないかと思います。
 樽井 中国からウォルナットやホワイトオークの0・5㍉厚のツキ板を輸入していた時がありましたが、今は私の会社の工場で作れるようになったので、ここ3、4年はほとんど輸入していません。以前はピアノなど楽器メーカーがかなりの量を使っていたのですが、今は20年前に比べると20分の1になりました。
 鮫島 今後の市場の動向については、住宅着工はそれほど落ち込まないでしょう。特に地方の年間5棟から10棟やっている工務店さんは、ほとんど落ちていません。ただ使う内容について気になっています。カウンターなどに広葉樹の無垢材が売れないかと思っているのですが、シートや印刷に変わったりしてコストダウンを図る工務店さんやホームビルダーが多くなっていることを懸念しています。
 淡中 私のところもフロアは高級志向のものを扱っていますので、ちょっと厳しいなと思っています。今年の第2四半期以降、少しずつ回復していると聞いているのですが、お客さんの需要と在庫を鑑みると来年は2割くらい絞らないといけないかなと思います。
 松尾 米国とは約二、三十社と順調に取引させてもらっています。ただ毎年のことながら、天候次第かなと思います。もう一つは、特に私どもと木材の調達がかぶっているウイスキーの樽(たる)市場ですね。同グレードを1割2割高く買っているので、回ってこないことを懸念しています。
 坂口 樽市場については正直、ちょっと心配なところはありますが、担当者の力量にもよるところがあるでしょうね。
 樽井 ホワイトオークに関しましては、ここ4、5年、樽屋さんに負けている状況が続いているのですが、ツキ板用はちゃんと置いてくれているので今のところは大丈夫です。
 辻 森田さん、米国の状況は日本と比べて違いますか。
 森田 米国の針葉樹の値段が一時は3倍くらいまで上がっていまして、これから米国内のマーケットがどう動くのか、日本の輸入にどのような影響を及ぼすのか非常に興味があるところです。
 辻 米国の木材事情は非常にいいですね。製材関係だと、日本の家具業界が必要とする厚みと、米国の業界が必要とする厚みが違いますから、その辺を危惧しています。日本の家具メーカーさんには、木材輸入業者を通して「家具用材の厚みについては、アメリカ側は国内向けばかり製材するので、必要な時にある程度は発注しておかないと手配できなくなる可能性がある」とアドバイスしています。
 樽屋さんは非常に元気がありますから、ホワイトオークは絶対に下がりません。巣ごもり需要もあって、米国も日本もウイスキーが非常に売れているようですから。
 最後に合法証明について私の方に問い合わせが結構来ていますが、AHECのメンバーはきちんと合法証明を出していますので皆さんご説明いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

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