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マレーシア国際家具見本市特集 その1 MIFF25周年 激動マレーシアを輸出の舞台に アジアのハブ 日本出展に期待

25周年を迎えるMIFFのスタッフたち
来場者でにぎわう新会場のMITEC

 東南アジア最大級の「マレーシア国際家具見本市(MIFF)」(UBMマレーシア主催)が来年3月8日から11日までの4日間、マレーシアの首都クアラルンプールで開催される。MIFFは今年、マレーシア・インターナショナルトレード&エキシビションセンター(MITEC)を新会場に加え、来年の集客アップに向けて準備を進めている。2019年に創立25周年を迎えるMIFFは、アジアのハブとしての役割を世界にアピールするとともに、日本の出展を期待する。米国の対中制裁関税の影響も気になるところだ。MIFF2019とマレーシア市場の可能性を探った。

米制裁関税どう影響? マレーシア市場の可能性を探る

 ドナルド・トランプ氏が大統領に就任した2017年、マレーシアとシンガポールの見本市会場では、米国の保護主義を警戒して、中国・ASEAN域内のビジネスの強化に動いていた。
 米国の中国に対する第2次制裁関税は、家具を含む日用品まで及んでおり、東南アジアへ生産拠点を移す企業も相次いでいる。一方、マレーシア家具にとって、価格的に優位に立てることから、米国市場への輸出量のアップを期待する声もある。
 2017年のマレーシアの家具輸出は2727億円で前年比6・4%伸びた。このうち木製家具は2205億円で80%を占めている。輸出国は160カ国以上におよび、世界のトップ10に入っている。
 家具の製造・販売側は引き続き輸出拡大に力を注いでいる。近年の新たな取り組みとしては、Eコマースが挙げられる。欧米や日本で電子商取引を利用するバイヤーが増えてきているため、マレーシア政府は、国内家具メーカーのECプラットフォームの整備に力を入れている。
 マハティール政権は、マレーシア最大の家具産地であるムアーをはじめとした家具産業の支援を引き続き行うことを表明している。
 マレーシアの第2四半期のGDP成長率は前年同期比4・3%増で第1四半期の5・4%増から減速している。6月に6%消費税を廃止した効果で個人消費には一時、回復の兆しもみられた。
 ただ、目下の課題は、前政権が残した多額の借金。財政再建のために、販売やサービス以外で、国民の負担を伴わない新税の導入や国の資産売却などが検討されている。
 マレーシアの国内では、欧州の高価格帯家具が売れ、高級家具のショールームもオープンしている。
 都市部や再開発地区で家具備え付け型の高級コンドミニアムの建設が相次いでいることが影響している。若年層が、より良い住空間にお金を使う傾向が強いという見方もある。
 「MIFFにはASEANだけでなく、欧米やオーストラリア、中国、インドなど多様な国・地域からバイヤーが訪れている」とMIFFゼネラルマネジャーのカレン・ゴイ氏。「欧州や中国の大型展示会と違って適度な規模であるため、広大な展示場の中で出展社が埋もれる可能性が少ない。こうした特徴を十分に利用すれば、海外マーケットに向けた魅力的な場所だと理解してもらえるだろう」と出展を促している。

家具産地ムアーに注目 「ファニチャーシティー」政府が支援

 マレーシア政府は4月に、同国最大の家具産地であるムアーを「ファニチャーシティー」として宣言した。来年のMIFFでは、ムアーからの出展がさらに注目されそうだ。
 ムアーはマレー半島西部ジョホール州にある地方都市。海外への家具輸出における草分けであり、マレーシアの発展と経済をけん引する役割を果たしている。ナジブ前政権下で起案された工業団地「ムアー家具パーク(MFP)」の建設計画は、マハティール政権の下で引き続き進められることになり、約400㌶の敷地に180社のメーカーを招致して、現地の家具産業をさらに活性化させる方針だ。2023年にMFPが全面稼働すれば、年間売り上げは10億6000万リン
ギットを超える見通し。また、マレーシアでは国産品を現在の50%から20年に70%に拡大する方針を打ち出している。MIFFは2013年にムアー家具協会(MFA)と提携。毎年、マレーシアの出展家具メーカーの半分を占める約200社が出展しており、同見本市最大の見どころとなっている。MITECに設けられたMFAのフロアを中心に、各所にムアーのメーカーが出展する。

ムアーを代表するSJYファニチャー。コンペティションで毎年のように入賞している
140カ国・地域以上からバイヤーが訪れている

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