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★家具業界の閉塞感を打破するために 海外バイヤー続々来場「アジア・ファニシング・フェア」 主催のアジア家具フォーラム理事長 阿部野 育三氏に聞く

阿部野 育三氏

 異業種やアジアをはじめとした海外との交流の舞台となるアジア・ファニシング・フェア(AFF)が11月15日から17日まで、東京ビッグサイト東5ホールで開催された。開催直前の10日、AFFを主催する一般社団法人アジア家具フォーラム理事長の 阿部野育三氏にインタビューした。阿部野氏は、家具業界の閉塞感を打破するために何をすべきか語った。

 アジア・ファニシング・フェア(AFF)は、アジアを視野に入れたビジネスの実証の場、人との出会いを通じてそれを形にする場としてスタートしました。
 今年のAFFには、アジアを中心に海外からのバイヤーらが100人以上いらっしゃいます。小売りやECを手掛けている方々、皆さんのターゲットは、言うまでもなく日本製品です。これまでのアジア家具フォーラムの活動が実り、出展社も過去最高となっています。出品の内容も広がっており、小物や雑貨類、スマートウォッチや蓄電池まで見られますので、ぜひ会場でご覧になっていただければと思います。
 アジア家具フォーラムでは、SDGsや環境の取り組みを進めていますが、それを代表する展示が、マレーシアなどのアブラヤシ廃材を活用したパナソニックハウジングソリューションズさんの「PALM LOOP(パームループ)」ボードです。既存のMDFの代替としてこのボード1枚(2・5㍉厚3尺×6尺サイズ)を使用すると、5・6㌔㌘相当の体積の二酸化炭素(CO2)削減に貢献できます。ボードを使用した枚数に応じて、一般消費者がその製品を購入するとどれくらいCO2減に貢献できるのかを数値化することが可能となっています。いま実証段階にありますが、採用製品も増えており、昨年に続いてこのボードを使った家具製品を一堂に展示しています。
 今の家具業界の閉塞感を突破するには、具体的な積み重ねが必要です。PALM LOOPは、その一つでもあります。今年3月に開催されたマレーシア国際家具見本市(MIFF)で私たちアジア家具フォーラムは「ジャパン・パビリオン」を設けました。そこにパナソニックハウジングソリューションズさんによる「PALM LOOP」の紹介と採用製品を出展したところ、マレーシアのファディラ・ユソフ副首相兼プランテーション・コモディティ大臣も視察に訪れ、その後に政府とのやり取りも始まっています。
 私たちがこれまで柱としてきたペットサローネは、昨年よりも出展数が増え、ペット連れの一般客も訪れています。
 e―squisse(エスキス)さんは、住宅CAD関連システムサービス、最新のVR技術を駆使したホームステージングという、不動産の売買・賃貸予定のお部屋をインテリアコーディネートによって演出してお部屋の成約率をアップさせるコンテンツの提供、次世代型3DCADのクラウドサービスを展開されています。家具業界からもこうしたITの高い技術を持つ会社に提案することによって、お互いに見せ方や売り方を変えていくことができると思います。
 そうした異業種も含めた交流を図りながら、ムーブメントをどうつくるかです。そこには家具の販売店の皆さまの協力も必要です。そうすることによって家具業界の未来が見えてくるはずです。

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