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★再造林を促進する取り組みなどを支援する「顔の見える木材供給体制構築事業」 福岡・大川家具工業会など採択

福岡・大川家具工業会のツキ板を使った風車づくりのワークショップ。「顔の見える木材供給体制構築事業」の採択事業でも国産材を使った屋台が使われる

 伐って、使って、植えて、育てる―。このサイクルをどう回していくか。林業の持続可能性を担保しながら、素材生産から流通、家具などの木材製品製造、消費者に製品が行き着くまでの流れの中で、いま問われているのは、木を植えて育てる再造林だ。
 2021年に策定された森林・林業基本計画では、再造林などで森林の適正な管理を図りながら、林業・木材産業の成長産業化に取り組むことにより、社会経済生活の向上とカーボンニュートラルに寄与する「グリーン成長」を実現していくことをうたっている。
 林業の担い手が不足する中で、いかにサイクル全体を通して山側のコスト負担を和らげていくかが注視されている。
 こうした流れを踏まえて、一般社団法人全国木材組合連合会、一般財団法人日本木材総合情報センター、一般社団法人全日本木材市場連盟が共同実施する林野庁補助事業「顔の見える木材供給体制構築事業」の公募が6月に行われた。
 同事業は、林野庁補助事業の令和5年度建築用木材供給・利用強化対策の一環として、山元に利益を還元して再造林を促進するための新たな取引きの仕組みづくりを支援するとともに、森林認証材の需要拡大、中大規模建築物への地域材の供給体制構築、連携グループを設置して行う付加価値の高い構造材、内装材、家具、建具など幅広い分野での木材の利用拡大・普及活動に向けたモデル的な取り組みなどの支援を行っている。
 今年度は国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会と林業機械化協会による立木市場の構築はじめとした11事業が採択された。
 家具業界では、福岡・大川家具工業会(福岡県大川市)が採択された。国産材の大径材をどう使って、山元に還元していくかが事業のポイント。大川には大径材をひける製材工場がある。その利点を生かしながら、薄物(36㍉以下)のCLT(直交集成板)に加工して作ったマルシェ(市場)キットで、街ににぎわいをつくるという。
 そのマルシェの舞台を支えるのが、手作り家具工房日本の匠による国産材を使った屋台「WATAI cart(ワタイカート)」。このほど開催された「GOOD LIFEフェア」(朝日新聞社主催)でも、この屋台でツキ板を使った風車づくりのワークショップが行われ、たくさんの親子連れでにぎわった。
 同工業会では早生広葉樹センダンの植樹イベントを開催している。それに合わせて、マルシェを開くことも考えている。そこで、子どもたちが「かざぐるま」などのおもちゃを作って楽しみながら、山の自然と木に親しむイベントを開催。さらに、人を集めるマルシェのコンテンツとしてパッケージ化、森に囲まれた自治体に販売することも考えている。
 このような取り組みによる地域に根差した木材の利用促進は、山元の立木の価値を高めるとともに地域経済の活性化にも寄与し、次世代の森林を育成することにつながる。

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