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★【読者投稿】 「家具流通に車の流通モデル」 みんなでやろう!4R流通モデル㊤

フィールドアロー代表取締役 矢野雅也氏

 弊社のスタートは、ごみの家具を拾って磨いて売る中古家具販売店である。
 私が町の家具屋さんに勤めていたころ、毎日のようにイケてる家具が配送センターのごみ置き場に捨てられていた。耐えがたいほど本当にもったいなく思い、いつか立ち上げようと思っていたインテリアショップの商品にしようと、友人のおやじさんの仕事場の倉庫に保管してもらっていた。
 中古家具販売を通じて学べた一番のこと、それはお客さまの「捨てるに忍びない気持ち」である。「買い替えたいけどまだ使えるからもったいないしね」「処分したいんだけど捨てるのも心が痛むから、ただでもいいから引き取ってほしい」という痛切な思いである。
 この言葉を聞いて家具屋が何を思うのか。「面倒くさい」と放置してよいのか。
 時代はサーキュラーエコノミー、SDGsである。私に言わせてもらえば何も新しいことではない。ごくごく当たり前のことである。生きている木を切り倒し、プロダクトアウトで勝手にものを作り、売った後は知らんぷり。
 行き場を失った家具たちがどんどん捨てられていく状況を見て「このままでは家具業界は終わるな」とずっと思っていた。中古市場が成熟してこそ、ユーザーは下取りに出して何度も買い替えることができる。
 家具クリニック(修理)の現場での実感だが、ユーザーは平均的に20年に一度、買い替えや修理を検討している。このユーザーの購買機会を逃すまいと、メーカーの囲い込みや値引きを行い、家具屋は顧客獲得に躍起になる。結局、値引き競争でもうからず、次の商売の機会はまた20年後…ということになる。
 100年使えるような上質な家具を売りっぱなしにするのではなく、下取りと再販を繰り返しながら、どうして5年ずつ20人に使ってもらい、製品を100年流通させる間に何度も商売することを考えないのか。なぜリペア、リメークの要望に応えて何度も家に呼んでもらおうとしないのか。
 昔、ある不動産屋さんと家具屋さんに聞いた言葉がある。「売った瞬間から客は敵」だとか。もはや理解不能である。
 次回は具体的なアクションプランを提案させていただきたい。家具業界の維持、発展のために、同業他社の力になりたい。(続く)
フィールドアロー代表取締役 矢野雅也

 やの・まさや 1974年京都市生まれ。職業訓練校、町の家具会社勤務を経て2002年に中古家具SHOP「finger marks」開業。04年家具クリニック、13年家具レンタル業Interenrior、15年オリジナル家具の製造・輸入開始。製造販売・修理・下取り再販・レンタルの4つのチャネルで家具流通の車流通モデル化推進のために取り組む。

<会社紹介>
フィールドアロー株式会社
〒604-0883
京都市中京区間之町通竹屋町下る楠町610森ビル1階
電話 075・251・8360
URL:https://fieldarrow.co.jp/

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