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★【事業再構築補助金の新潮流 ㊤】100年の歴史を持つ藤田建装が新たな一歩 浅草で独自ブランド展開

ウォルナットの同形状のパーツを積み重ねることで意匠性をもたせたテーブル「YUI-01」
藤田建装の藤田一之社長

 店舗やホテルの内装を手掛ける浅草の老舗、藤田建装(東京都台東区)は10月4日、オーダーメード家具ブランド「cazari(かざり)」を立ち上げた。顧客の内装とそれに伴うBtoBの家具づくりを続けてきた同社にとって、一般消費者まで広くPRできるオリジナル家具ブランドの立ち上げは悲願だった。100年近くの歴史を持つ同社が、どのようにして新たな1歩を踏み出したのか。

 藤田建装は、1924(大正13)年に東京・浅草で「藤田店飾(ふじたみせかざり)専門店」として家具の製造販売を開始し、戦後に内装業へと事業領域を拡大。2005年には浅草・伝法院通りの景観整備プロジェクトに参加するなど、地域に根差して活動してきた。24年に創業100年を迎えるにあたり、原点回帰ともなる「オーダーメード家具」の自社ブランドを立ち上げ、EC販売などの事業を展開する。ブランド名の「cazari」は、創業時の商号「藤田店飾」に由来する。
 今回は、ウォルナットの同形状のパーツを積み重ねることで意匠性をもたせたテーブル「YUI―01」のほか、ソファやペットハウスなど10アイテムを発表した。
 藤田一之社長は「20年はコロナの影響をかなり受けたが、これをチャンスとして原点回帰しようと思った。社内でも独自ブランド立ち上げの機運が高まっていた時、事業再構築補助金のことを知った」と話す。
 同補助金は、コロナで影響を受けた企業を成長性のある新規事業によって再生させることを目的に中小企業庁が募集するもの。期間終了後3~5年で一定の利益や人件費などを達成する事業計画を策定して応募する。グリーン分野などさまざまな枠組みを用意しており、最高1億円の補助枠がある。9千件前後の採択のうち家具事業が目立っている。(続く)

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