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飛騨の家具フェスティバル特集⑤ 飛騨産業 100年の曲げ木椅子復刻

4つの価値観とそれを代表するアイテム。「人を想う」は「SEOTO―EX」の板座の新作チェアが飾った
復刻された「第七號椅子」に染色家の柚木氏による100周年記念ファブリックが採用された

 飛騨産業は100周年を機に、事業や開発方針、社員の行動指針などの普遍的な考え方を「人を想(おも)う」「時を継ぐ」「技を磨く」「森と歩む」の4つの価値観に集約した。シンプルだが、それぞれ考え抜いた言葉、それを象徴するアイテム、パートナーショップに向けた売り場提案、そして100周年を記念した新作を披露した。
 「技を磨く」を代表するアイテムとして昨年発表された隈研吾氏デザイン「クマヒダ」に続いて今年は「時を継ぐ」。100年前の1920(大正9)年に作られた同社初の曲げ木オリジナルチェア「第七號(ごう)椅子」を、残された1枚の写真から復刻するという難題に挑んだ。デザイン室の小平美緒氏は「最初に写真を見た時に、現代でも通用するチャーミングな椅子だと思った」という。当時のまま復刻するのではなく、細部のデザインや加工、サイズや仕上がりなどを検討した。材は当時と同じブナを使っている。
 飛騨の原料を混ぜた漆塗りは13工程にもおよんだ。昭和初期以降使われなくなった環状曲げ木にも挑戦し、3次元加工技術も取り入れ、モダンな椅子に仕上げている。ファブリックは、染色家の柚木沙弥郎氏に依頼した躍動感みなぎるデザインの張り布を採用、艶やかに黒光りする漆塗りに映えている。「第七號椅子」には帆布プリント。「森の言葉」や「穂高」には織り布を張って展示した。
 今回の展示では10月19日に死去したエンツォ・マーリ氏に捧げたコーナーが急きょ設けられ、同氏の作品と飛騨産業との深いかかわりを語ったパネルが展示された。

10月19日に死去したエンツォ・マーリ氏に捧げたコーナーが急きょ設けられた

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