ニュース2020.06.05
公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンは世界環境の日の6月5日、新型コロナウイルスとの共存および感染収束後の社会において、持続可能な未来を目指した活動にどう取り組めばいいのか、指針として発表した。
SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、エボラ出血熱など新たな感染症が発生しているが、WWFはその多くが「動物由来感染症」であるとして、森林破壊、地球温暖化、違法・無規制な野生生物の取引などによって、人間と野生生物が接触する機会が増えていることを原因として指摘した。
さらに、感染症の予防・拡大抑止、感染の影響からの復興、収束後のそれぞれの段階において、持続可能な社会を目指すための取り組みを挙げた。
WWFは新たな未来を開くカギは、生物多様性、社会にあるとし、感染収束後の環境保全は、この2つの多様性をこれまで以上に意識して、一つに統合した形で新しい取り組みが求められるとした。
持続化な社会を目指すステージとWWFの取り組み
■感染の予防、拡大の抑止のステージ
・感染症再発・拡大の原因となる、野生生物の違法取引防ぐこと
・感染症再発・拡大の原因となる、森林減少など自然環境破壊をくいとめること
・自然破壊の根本原因となる、貧困を撲滅に取り組む必要性を再認識すること
【WWFの取り組み】
・森林・海洋・水環境の保全活動:企業に働きかけ生態系や生きものを減らす破壊的な開発行為の防止を求める
・野生生物の保全活動:野生生物の違法取引の撲滅に向け、調査に基づいた提言活動
・森林・海洋の保全活動:経済的自立を伴った地域主体の自然保護活動の支援
■感染の影響からの復興のステージ
・経済だけに偏った復興政策を優先せず、長期的な持続可能性を目指すこと
・コロナと同じく社会に大きな影響を及ぼす地球温暖化の抑止につながる復興を目指すこと
・環境保全につながる新しい生産と消費の在り方を基本方針とすること
【WWFの取り組み】
・地球温暖化の防止:グリーン・リカバリーの実現に向けた提言
・グリーン・エコノミー:環境に配慮した金融政策の促進
・森林・海洋・水環境の保全:海や森の持続可能な産品の生産促進
■ポスト・コロナの新しい未来のステージ
・一人ひとりが、正しい情報を見極め、より賢い消費、選択を行なうこと
・国境を越えた国際的な取り組みを支援すること
・人の社会的多様性を認め合い、他の生物との共生を実現すること
【WWFの取り組み】
・森林・海洋の保全活動:環境に配慮した製品につけられるエコラベルの推奨
・環境教育・普及活動:環境教育、活動の広がりと支援の呼びかけ
・活動全般:持続可能な社会の実現に向けた提言
日本人の自然と共生する価値観を世界に
WWFジャパン事務局長 筒井隆司
いつもWWFの活動へご支援いただきましてありがとうございます。
コロナウイルス感染症に罹患された皆さま、および影響を受けられている皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
過去数十年間、続けざまに新たな感染症が発生し、その多くは野生生物からヒトに感染する「動物由来感染症」と言われています。
これらの問題は、私たちが長年解決に向けて取り組んできた環境問題とも深く関わっています。
そこで、私たちは3つの提言を通じ、WWFが持つグローバルなネットワークを駆使しながら、国や市民が一致協力し、環境保全を進めながら感染症のリスクを下げる取り組みをしていきます。
私たち日本人は、自然の恵みの中で感謝しながら、自然と調和して生きてきた民族だと思います。こうした価値観はご支援を頂いているみなさんと作ってきた価値観でもあります。
今こそ日本人の自然と共生するという価値観を世界に伝えながら、人類と自然が調和して生きられる未来を作っていきたいと思います。
※動画はhttp://a01.hm-f.jp/cc.php?t=M646214&c=214&d=b786
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