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飛騨の家具フェスティバル特集② 飛騨の家具アワード家具デザインコンテスト 海外応募 1.5倍に 優秀賞に海外建築家など4作品

左から山崎氏、鶴田氏、Ikjeさん、白川氏、熊谷有太郎さん(奨励賞)、陳さん、岡谷知幸さん(奨励賞)、望月さん、習民さん(奨励賞)、大江孝明さん(特別賞)、安東氏、川上氏
Ikjeさんの「ARCH」

 飛騨木工連合会(白川勝規理事長)は9月4日、「飛騨の家具アワード家具デザインコンテスト」の審査結果を発表、受賞者の表彰を飛騨・世界生活文化センターで行った。同コンテストは、国産材を用いた木製品を飛騨の技術によって作るための新しいデザインを公募、製品化を目指すもので、今年で4回目となる。
 応募総数は232点。英国、台湾、イタリア、韓国、米国など海外26カ国から昨年の1・5倍にあたる54点の応募が集まった。
 デザイン・建築などを専攻する学生の応募が最も多く、フリーランス、インハウスのデザイナーなどがコンテストに参加した。
 審査は飛騨木工連合会会員企業の代表者と外部アドバイザーとして安東陽子(テキスタイルデザイナー・コーディネーター)、川上元美(デザイナー)、鶴田浩(リアル・スタイル代表取締役)、山崎泰(JDN・登竜門ブランドディレクター)の4氏があたった。
 飛騨木工連合会の白川勝規代表理事は「総数は減少したが、海外の作品が大幅に増えた。全体的なレベルは上がったが、図抜けた作品を見出すことができなかった」と話した。
 川上氏は「あっという間に海外の応募が増えたのは、ネットの時代ならではだと思う。いいものがたくさんがあるが、ちょっと不満のあるものが横並びで拮抗していた」と総評を述べた。
 今年は最優秀賞の該当作品はなく、優秀賞4、奨励賞3、新たに設けられた特別賞1作品が選ばれた。
 優秀賞は次の4作品。飛騨木工連合会のメーカーによる試作がこれから行われる。
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 Ikjeさん(33)はオーストラリアの建築家。「ARCH」は、最小限の木材を使い、曲げ木の技術を駆使した一つのアーチに肘、背、脚の機能を持たせている。美しいアーチ状の造形がテーブルの下に収まって引き立てる。
 外部アドバイザーの鶴田氏は、商業施設の共用部分への利用も想定して「背もたれのホールド感など、実際に作ってもらえるのが楽しみ」と話した。
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 高橋賢治さん‌‌(31)は東京在住、建築設計事務所に勤めている。「MOO―KUU」は、スギ材の加工性、温もり、肌触りを生かし、動物の背に身をゆだねるように、やさしく人を受け止める。
 「飛騨の木工家具っぽくないが、これまでと違うものを作ろうという流れの中で、飛騨の木工ならではのチャレンジができる作品」と安東氏。
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 陳彬さん(28)は、神奈川で暮らす。多摩美術大学で環境デザインを学んでいる。受賞作「cat chair」は、猫と一緒に座る書斎チェア。背もたれは普通の椅子より前にして、座面の後部に猫の座るスペースが設けられている。
 安東氏は「自分の身体感覚で生活風景をとらえてつくっている。ストーリーと形、空間、いろいろな点から優れている」と評価した。
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 望月和也さん(28)は千葉県在住のデザイナー。「祀り木 matsuri—gi」は、現代の生活に合わせたシンプルでコンパクトな神棚。ヒノキを生かした合掌型の木目模様がデザインのポイントになっている。
 「現代の生活に合うように考え抜いた新鮮な作品。(ここより上は何もない天上を表す)雲の模様を入れるなど、きちんとセオリーも守っている」と川上氏。

高橋さんの「MOO-KUU」
陳さんの「cat chair」
望月さんの「祀り木 matsuri-gi」

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