ニュース2018.11.21
フランスを拠点に家具メーカーのデジタル化をグローバルにサポートしているレクトラの日本法人、レクトラ・ジャパンは、11月20日から22日まで東京都江東区の東京ビッグサイトで開催されているアジア・ファニシング・フェア(AFF)に3D設計ソフトウエア「Desing Concept 2D/3D Furniture(デザインコンセプト2D/3Dファニチャー)」を初出展した。海外では、イタリアで斬新なデザインを発表しているモローゾが導入しており、生産工程の大幅な効率化を実現している。
「デザインコンセプト」は、もともと自動車の内装デザイン・設計で長年使われ、日本の大手自動車メーカーやシートメーカーでも採用されている2D/3Dソフトをベースに作られている。内装に皮革を多用する自動車業界において歩留まりを向上させる役割を担ってきたこのソフトを、レクトラはソファなどの張り家具のデザイン・設計に使いやすいように仕立てた。
デザインコンセプトを2年前に導入したモローゾの製造マネジャー、マッシモ・ロマヌッティ氏は「開発プロセスの非常に早い段階で製品の快適性と実現性を評価できるようになり、時間の短縮につながった。デザインの選択に意識を集中できるようになった」と評価している。
デザイン・設計において3Dを使用するメリットは、試作品作製のコストを抑えられることと、海外工場とのやりとりが円滑に進むことだ。デザイナーにとっては、細部のつくり込みまでイメージを伝えることができるようになってきた。
デザインコンセプトは、従来の3Dソフトが苦手といわれてきた、ソファなどの皮や布などを使ったところまで設計できる。試作品を作る前に、布や革の張り方やテンションの検証、縫い目や裁断方法、縫製周長の計測まで検証できる上、出来上がった3Dから裁断パターンに展開することもできる。
さらに、初期段階で正確な製品全体のコスト管理ができることが、このソフトの大きな特徴だ。原材料や人件費のコストが上昇する中で、その威力を発揮する。
デザインコンセプトは、プロトタイプ作製とコスト計算を並行して行うことにより、使用する全ての材料を迅速かつ正確に予測できる。それがデザイン変革の可能性まで及ぶことについて、レクトラ・ジャパンの田中昭彦社長は「デザイナーから奇抜なデザインを提案されたときに『本当に作れるのか』『どれくらいコストがかかるのか』をデザインコンセプトで試算することができます。これまで不可能と思っていたものが、経営者も参加してディスカッションしながら実現性を検証することができるようになるのです」と話した。
レクトラとは 設立は1973年。ファッション・アパレル業界から始まり、現在は自動車、家具まで布や革などソフトマテリアルを扱うためのCAD/CAM(コンピューター支援による設計・加工)、設計・型入れソフト、裁断機を製造・販売している。海外や日本の大手自動車、アパレルメーカーに普及している。全世界の社員数は1700人で売り上げは約300億円、そのうちの10%を家具が占める。イタリアの家具メーカーの約8割がレクトラのシステムを使っている。
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