ニュース2018.09.19
家具新聞社などが主催する全国セミナー「地域経済活性化セミナー クリーンウッド法と家具業界~解説と報告 国内外を市場としたビジネス戦略」が9月7日、岐阜県高山市の飛騨・世界生活文化センター大会議室で開かれた。家具メーカーなどから約30人が参加した。協同組合飛騨木工連合会ブランド委員会顧問の本母雅博氏はクリーンウッド法について、業界で進めている合法木材供給事業者認定と「目的が同じなら統合してシンプルにしてほしい」と訴えた。積水ハウス環境推進部部長の佐々木正顕氏は、国連が定めた17の持続可能性に関する開発目標「SDGs」について説明し「新しいルールを戦略に組み込めているのか」と問い掛けた。
セミナーは、本母氏の講演「飛騨の家具と合法伐採木材利用」から始まった。本母氏は①輸入材の合法性を証明する具体的な指針を示してほしい②クリーンウッド法の周知が足りず、家具業界では関心が薄いため認知を高めることが必要③飛騨の家具のガイドラインでは合法木材の使用という一文を入れている。どの業界よりも早く合法性を訴えてきた―と発言した。
合法伐採木材など環境物品の調達を推進するグリーン購入法の施行後、日本家具産業振興会は林野庁のガイドラインに基づいて、合法木材供給事業者の認定を行っている。本母氏は「二重手間にならないようにクリーンウッド法と合流する形で一本化してほしい」と提言した。
「クリーンウッド法の概要と意義」を解説した林野庁林政部木材利用課林業・木材産業情報分析官の河野晃氏は「グリーン購入法については関連省庁と連携して今後について考えていきたい」と発言。クリーンウッド法の意義を語り、家具業界からの事業者登録を呼び掛けた。家具業界からの事業者登録は現在、「住友林業、TSC、ワイス・ワイス、ウッドワン、カンディハウス、双日九州の6社」と話した。
続いて、積水ハウス環境推進部部長の佐々木正顕氏が「これからの住まいとクリーンウッド~環境調達の先進事例、住宅から家具まで~」を講演した。佐々木氏は「住宅メーカーは早い段階から木材に対してどう向き合うか進めてきた。ひと足早く動き、どうビジネスに生かすか話したい」と切り出した。
「飛騨の伝統と品質は、ほかではまねできないほど素晴らしい。しかし、それがあればビジネス戦略上、何も問題がないなら私がここにいる必要はない」。コストパフォーマンスを売りにする企業が市場を席巻する中で「伝統を大事にしながら時代がどう動くか、ほかの産業がどう動くか見た上で、自分たちが生きるための個性をつくっていくことが大切」として、住宅からIT業界まで、持続可能性を考えた取り組みを説明した。
「世界の動きが自分たちの家具にどう反映されているのか、もう一度考える必要がある。市場が何を見ているのか、ほかにやるべきことはないのか見つけていってはどうでしょう」と訴えた。
登録実施機関の公益財団法人日本合板検査会調査研究部調査広報課長の坂本龍二氏は「クリーンウッド法の登録の流れ」を説明した。最後に、岐阜県各務原市の家具のフクタケ店主の小川直樹氏が講演した。小川氏は家具小売りの現場から感じた家具の魅力を語り、クリーンウッド法をどう生かすかについて「まだそこまでの段階ではない。お客さまは、木材やクリーンウッド法には全く関心がない。その前にもっと大事なことを広く伝える必要がある」と林業に携わり、仕事の事故で亡くなった祖父のエピソードについて「孫子のことを考えて仕事していた」と紹介した。「クリーンウッドは最低限守っていかないと、次の世代に木材を残していくことはできない」として「まず家具は先祖が育てた木を使って100年かけて作られることを日々お客さまに伝えていく必要がある」と話した。
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