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2019型学習家具商戦スタート リビング&勉強部屋 両構え 市場再構築に知恵絞る

学習デスクの原点に返るというコイズミファニテック
子どもの成長を考えた製品を打ち出しているイトーキ

 このままでは婚礼家具と同じように学習家具市場が「消滅」する―。学習家具市場の低迷に危機感を抱いたコイズミファニテック、イトーキ、オカムラ、くろがね工作所のメーカー4社は5月22、23の両日、合同展示会「スタディ&ホームファニチャー2019」を東京都大田区のTRC東京流通センターで開催した。後援は日本オフィス家具協会(JOIFA)。合同展示会は2000年と01年の開催以来17年ぶり。初の合同記者会見も開かれ、各社が考える学習家具市場の再生に向けた戦略や製品開発コンセプト、ユーザーへの訴求ポイントなどが紹介された。展示会場には、家具専門店のバイヤーや販売員ら496人が訪れて活発な商談が行われ「来年も開催してほしい」という声も聞かれた。

合同展示会 各社手応え

■学習机の原点に返る
コイズミファニテック

 JOIFAの予測によると、来年の新入学児童数103万4千人に対して、小学校新入学児童の学習デスク年間購入率は45・3%と初めて50%を切る。業界最大手のコイズミファニテック、川上隆司社長は「ライバルとか言っている場合ではない。100万人の入学児童に対して45万台しか販売が見込めない」と、学習家具市場の消滅の危機感から4社合同展示会に至った経緯を話した。
 リビング、ダイニングでの学習に対応した製品について川上社長は、当初は需要を見込んで製品開発を進めていたが「全く成果として出ていない」という。また、学習用具を収納するマルチラック人気も「ラックがあれば机は持たなくてもいい、という考えを広げる一因になっている」と指摘。原点に返って「『学習机のコイズミ』としてまい進する」ことを宣言した。販売目標台数として学習・書斎デスク7万台、椅子10・5万脚を掲げている。
■テレワークも視野に
イトーキ

 イトーキは、昨年度の学習家具の売り上げが前年度比で約10%ダウンしたため、働き方改革も視野に入れ、自宅でのテレワークに対応した製品開発によって低迷脱出の糸口を見つけようとしている。
 同社が子どもの勉強場所を調査したところ、リビング学習は小学校低学年で8割、高学年で65%と主流になっていた。パーソナル環境事業統括部統括部長の国枝由冶氏は「高学年になるほど子ども部屋で集中して勉強する時間が緩やかに増えているが、リビング学習がなくなることはない。住まいのさまざまな場所で勉強できる環境が必要と考える」と述べた。
 一方で「集中して勉強できる環境もお勧め。自立心が育まれる。従って、勉強する気分や内容によって使い分けることが必要。リビングで勉強して、子ども部屋に移る場合は、ワゴンや棚を追加して組むことができる。同じシリーズの中で、そういう形ができるものを数年前から作っている」と話した。
■潜在需要を取り込む
オカムラ

 オカムラは、リビング向けと個室向けの両構えで臨む。
 今回はリビング・ダイニング学習向けの新作「VICINO(ヴィチーノ)」などを投入して年間1億5000万円の販売目標を掲げた。
 インテリア営業部長の佐々木英彦氏は、「新入学の購買率が下がっている分、学習机を持っていないお子さまが多くなっている。ユーザーに広くPRし、潜在的なニーズをうまく取り込めば年間需要の拡大も期待できる」という見方を示した。
 合同展示会については「昨年の倍のお客さまが来場した。お客さまにとっては、一カ所で4社の製品が見られると好評。来年もできればと考えている」と話した。
■ワーキングデスク充実
くろがね工作所

 同社は、昨年の販売台数を伸ばした。「戦略的に販売した組み替えデスクと、リビング・ワーキングデスクのシェルデの売り上げが伸びた」とSOHO営業本部統括部長の三宅良典氏。今回は「シンプルでデザイン性、質感を兼ね備えたリビング・ワーキングデスクの充実を図った」と話した。
 一方で「ボリュームゾーンはきっちり押さえておきたい」。同社は女子児童向けの「キュートガール」、男子向けの「クールボーイ」といった個性派デスクや、売り上げの7割を占める組み替えデスクに引き続き力を入れる。
 「販売店の中には『展示数を減らして〝見せる展示〟にしたい』という声もある。メーカー色の濃いものを展示して差別化を図り、学習デスクの必要性を訴えていきたい」と力を込めた。合同展示会については「関西からの来場者は少ないが、大型のチェーン店から多く来場している。大きなメリットはある」と継続に期待している。

学習対応のダイニング登場 光製作所

 光製作所のダイニングの新作「LS Fanality(LSファナリティ)」は、学習用途にも使えるダイニングテーブルという新しい発想で開発された。第2営業部企画営業部長の小林修氏が「昨年の展示会で発表して、販売店の声を聞きながら改良を重ねてきた」という自信作だ。同社が6月13、14の両日に開催した新作展でも「いい売り場ができそう」という販売店からの手応えを得たという。
 同シリーズのBタイプは、天板下の収納ボックス脚の片側に本や学習用品を、反対側にキッチン用品を収納できる。天板の取り付けは、片側に寄せたり、斜めに取り付けたりできる。同様にワゴンも、学習用とキッチン用の双方の用途に使える。ランドセルを掛けるフックもついている。高さを調整できるダイニングチェアもそろえた。
 さらに、4本脚のLタイプはオプションで、天板裏にヒーターを取り付けられる。チェアは、引きずり音を軽減する脚端具「サイレント」にも対応している。

リビング学習の新作を投入したオカムラ
ワーキングデスクの充実を図ったくろがね工作所
収納ボックス脚にキッチン用品や学習用品を収納できる光製作所

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