★【旭川2026】カンディハウス×ガブリエル・タン氏が挑んだ常識を覆すモジュールシェルフ 「TANKA」誕生の舞台裏

モジュールシェルフのTANKA
ガブリエル・タン氏

 カンディハウス(旭川市)は、世界的に注目を集めるデザイナー、ガブリエル・タン(Gabriel Tan)氏とのコラボレーションによる新作シェルフを発表した。
 タン氏とカンディハウスの出会いは3年前。シンガポールのディーラーからの紹介をきっかけに、タン氏が旭川の工場を訪問。本棚やキャビネットの具体的な開発についての議論をスタート、3年にわたる開発期間を経て誕生した。

 「ルイスポールセン」から自身がデザインした照明をローンチするなど、目覚ましい活躍を見せるタン氏。今回の新作シェルフには、その同氏から発表されたばかりの照明が組み込める仕様になっている。
 最初のインスピレーションは、日本の伝統的な定型詩である「五・七・五・七・七」の「短歌(タンカ)」。短い言葉を組み合わせて豊かな情景を詠む(よむ)短歌のように「限られたモジュールを組み合わせて自由な空間を創り出す」というコンセプトが込められている。
 さらに、苗字の「タン(Tan)」と、日本語で構造やフレームを意味する「架(カ)」を組み合わせると、偶然にも「タン・カ(TANKA)」になる。

 プロトタイプは、スライディングドアや背板を備えた異なるデザインだったが、検証を進める中で、見た目の割に製造コストが高くなってしまうことが判明。デザインの大胆な変更を経て、書物をモチーフにした現在のかたちとなった。「面の片側が膨らみ、もう片側がへこんでいる」(タン氏)という絶妙な曲線が、光と影の陰影を生み出し、シンプルでありながら上質なデザインへと昇華されている。
 壁際に置くだけでなく、空間を仕切る「パーティション」としても使える。さらに、左右非対称・前後非対称のデザインであるため、置く向きや表裏をひっくり返すだけで、見え方が変化する。高さは4タイプ、組み合わせは全12種類。使う人自身が空間を自由にクリエートすることができる。
 「開発というのは最初からうまくいくことなんてない。お互いにどこが引けて、どこを引けないのかというすり合わせを諦めずにやり続けた」とタン氏が語るように、開発現場では同社会長の藤田哲也氏らが自ら手を動かし、構造の実験を繰り返した。図面では予測できなかった「棚が少し揺れる」「わずかに垂れてくる」といった強度の問題があったが、モックアップを用いた実験によって解決した。
 カンディハウスの開発担当者は「通常、棚板などの広い面には突板が使われるが、その木目のコントロールが難しいとされている。当社では木目を合わせる作業から合板に貼る工程まで、すべて自社工場内で内製化している。そのため、パッと見はまるで一本の木から削り出した無垢材にしか見えない仕上がりを実現できた。シンプルだからこそ、近づいて触れたときに分かる細部のディテール。ここに旭川のクラフトマンシップが息づいている」と語った。

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